NTTドコモが全国に約2300店舗ある販売店「ドコモショップ」について、2025年度ごろまでに3割程度(約700店舗)減るとの見通しを立てていることが明らかになった。同社は2022年2月22日に開いた販売代理店向け説明会で「2022年度に100カ所程度」のドコモショップを減らす方針を伝えたばかり。2022年3月には400~500店舗の閉店を計画しているとの報道も一部で出たが、これを上回る規模となりそうだ。
同社によると、端末買い替えサイクルの長期化やオンライン手続きの増加などにより、ドコモショップへの来店数は減少傾向にある。足元では店頭における手続き件数が前年比7割前後で推移しており、オンライン専用プラン「ahamo」の提供開始以降、オンラインの手続き件数は3割ほど増えたという。
こうした背景もあり、同社は「リアルとオンラインが融合したハイブリッドチャネル」に切り替えていく方針を示している。今後はリモート接客などでオンラインへのシフトを強化していくため、中期的には必要な店舗数も3割程度減るだろうとの見立てだ。まさにドコモショップのDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めようとしている。
増収増益へ譲れない一線
ドコモが5月12日の決算説明会で示した2023年3月期の業績予想は、売上高にあたる営業収益が前期比1138億円増の5兆9840億円、営業利益が同115億円増の1兆840億円。値下げの影響などでモバイル通信サービス収入は1143億円の減収となるにもかかわらず、増収増益を見込む。同社によると、この落ち込みを穴埋めするための効率化を計画しており、そのドライバーは販売チャネルの効率化だとした。
ドコモショップを運営する販売代理店の苦境ぶりは既報の通り。ドコモは2021年度から販売手数料や各種支援費を減らす一方、出張販売などによる顧客獲得強化も販売代理店に要請している。販売代理店は「あまりにも乱暴過ぎる」と激変緩和措置の導入にわずかな望みをかけたが、ゼロ回答で終わった。ドコモとしても増収増益の達成に向けて譲れない一線ということなのだろう。