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 総務省は格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)に携帯電話番号を割り当てる検討を始めた。MVNOは現在、携帯大手に割り当てられた電話番号を借りる形で音声通話やデータ通信のサービスを展開している。電話番号の直接割り当てが実現すれば、MVNOは独自のサービスを設計しやすくなり、自社顧客宛ての音声通話に対して接続料と呼ぶ収入を得られるようになる。大きなMVNO支援策となりそうだ。

 ただ、実現のハードルは相当に高い。一部のMVNOからは早くも実現性を疑問視する声が出ている。仮に実現したとしても、技術面やコスト面を踏まえると「最終的に利用できるのは数社程度ではないか」(有識者)との指摘がある。どういうことか。

緊急通報の確保などで重い負担

 MVNOへの電話番号の直接割り当てはこれまで何度も浮上したが、制度面や技術面の課題から見送られてきた経緯がある。

 まず現行制度では、携帯電話基地局の免許を保有する事業者でなければ携帯電話番号の割り当てを受けられない。さらに携帯電話番号の使用に当たっては緊急通報や番号ポータビリティーの実現が求められる。前者の基地局免許は条件緩和の余地があるとして、問題は後者のほうだ。

 緊急通報とは警察(110番)や海上保安庁(118番)、消防(119番)に接続する機能のこと。MVNOはIMS(IP Multimedia Subsystem)と呼ぶ交換機能を持ち、これらの緊急通報受理機関と個別に接続しなければならない。接続箇所は消防機関だけで700拠点近くある。細かい点を挙げれば、緊急通報と同時に求められる「発信者の位置情報の通知」をどう実現するかも課題だ。携帯大手が門外不出とする基地局の場所に関する情報までMVNOに開示させるのだろうか。

 もう1つの番号ポータビリティーは、事業者を乗り換える際に移転先でも同じ電話番号を使えるようにする仕組みである。同システムは高コストで知られ、MVNOが独自に構築・運用するのは荷が重い。