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 高止まりが続く携帯電話の音声通話料。30秒20円(税別、以下同じ)のまま10年以上も変わっていない。総務省によると、通話料の原価に当たる接続料(事業者間の精算料金)は携帯電話と固定電話で大きな差がないにもかかわらず、現行の通話料は携帯電話のほうがNTT東西の加入電話の3倍以上も高い水準となっている。そこで総務省は携帯電話の通話料の競争促進に向け、2021年5月31日に開いた有識者会議で新たな方向性を打ち出した。

携帯大手3社の音声通話料の推移
携帯大手3社の音声通話料の推移
出所:総務省
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MVNOでは半額の「30秒10円」も

 通話料の競争促進に向けて期待がかかるのは、新規参入の楽天モバイルや格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)である。だが、MVNOが音声通話サービスの提供に当たって携帯大手に支払う卸料金(原価に相当)も長らく高止まりの状況だった。例えばNTTドコモが2011年に設定した音声卸料金は割引適用後で基本料が666円、通話料が30秒14円。この水準では競争しようがない。

 驚いたのは、総務省が5月31日の有識者会議で配布した資料である。通話料の高止まりが長らく続いていたことを反省する内容となっていたからだ。それまでの会合でも有識者から「音声卸料金が10年間下がらなかったことは反省すべきだ」などの意見が相次いでいた。

 同資料ではMVNO向けの音声卸料金について、携帯大手が「定額制・準定額制の導入を通じて提供してきた実質的な小売料金を上回っていたおそれが高いのではないか」と指摘。その場合、MVNOにとっては同じ条件でサービスを提供することが不可能となる。電気通信事業法第29条の「業務改善命令の対象となるおそれのある行為であり、速やかに是正が図られるべきであったと考えられる」と振り返った。携帯大手に対する警告の意味合いが強いとはいえ、自らの落ち度を告白するかのような書きぶりは珍しい。

 もっとも、総務省は音声卸料金の高止まり問題について対処済み。そもそも音声卸料金は「相対契約」に近く、携帯大手が自由に決められる。携帯大手にとってはあれこれ言われる筋合いはないのだが、総務省は様々な理屈を並べ立て2021年3月までに引き下げさせた経緯がある。ドコモの卸料金も下がり、前述した状況は既に解消しつつある。実際、多くのMVNOが音声の基本料を引き下げ、通話料を30秒10円と従来の半額で提供する事業者も登場した。これまでは1回3分や5分、10分の通話に限定した「かけ放題」だけだったが、通話時間に制限のない「完全かけ放題」の提供も一部で始まった。