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 楽天モバイルが2020年6月17日まで提供予定の販促キャンペーンが大きな話題を集めている。4月に本格展開を始めた携帯電話サービス「Rakuten UN-LIMIT」に申し込み、独自端末「Rakuten Mini」を選ぶと、端末価格が1円になるというものだ。

 同社は300万人を対象にRakuten UN-LIMITの基本料金(月額2980円)を1年間無料とする販促キャンペーンも展開する。この2つの販促キャンペーンの組み合わせにより、1年間は1円でスマートフォンを保有(オプション料や通話料などを除く)できることになる。このインパクトは大きい。

 2019年10月に施行された改正電気通信事業法で端末代金の過度な割引が禁止され、端末買い替え時の負担感は高まった。負担を増やしたくなければ同じ端末を使い続けることになるが、楽天モバイルでは既存端末をそのまま流用できず買い替えとなるケースが多く、乗り換えの障壁となっていた。乗り換えに限らず、「試しに使ってみよう」という2台目利用の場合も同様だ。このため、同社は端末の購入時に最大1万5000円相当のポイントを還元する施策を展開してきた。

 今回の施策はさらに踏み込んだものになる。前述の通り、端末代金の過度な割引は禁止となったものの、税別2万円以下の廉価端末については「0円以下とならない範囲」で割引が認められている。Rakuten Miniの価格は税別1万9819円(発売時)。当初から1円でばらまく狙いだったのかもしれないが、ギリギリのラインを突いてきた。販促キャンペーンの発表直後は同社サイトへのアクセス増加で申し込みをしづらい状況が続き、6月9日時点では端末入荷待ちの状態となっている。契約数の大幅な上積みを見込めそうだ。

 もっとも競合他社は冷ややかな反応である。米アップル(Apple)のiPhoneのように万人受けする端末ならともかく、Rakuten Miniはどちらかと言えばニッチ向け。「モバイルFeliCa搭載のスマートフォンで世界最小・最軽量」をうたった小型端末になり、2台目利用は一時的に増えるかもしれないが、基本料金の無料期間が終了したタイミングで離脱するユーザーが多いのではないかとの読みが多い。