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 楽天モバイルの不祥事が相次いでいる。同社は1円販売キャンペーンで話題を呼んだスマホ「Rakuten Mini」の対応周波数帯を勝手に変更していたとして、総務省から2020年7月10日に行政指導を受けたばかり。今度は誤ったシステムメンテナンス情報を掲載していたことが判明した。

 楽天モバイルは7月17日午前7時ごろ、システムメンテナンスに伴い、音声通話やデータ通信が利用できなくなる旨を同社サイトに掲載。対象時間は午前8時から午後9時の13時間にわたり、対象地域も北海道、岡山県、山形県、佐賀県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県と広いことから騒然となった。

 同社広報によると上記の案内は間違いであり、「何かしらの連携ミスで誤って掲載された」。批判が相次いで慌てて中止したとみる向きもあったが、「もともと予定になかったもの。日中にメンテナンスを実施することは基本的になく、通常は午前0時以降」(同)という。

 その前日には、7月15日に始めた「夏のスマホ大特価キャンペーン」の特典内容を変更するとも発表していた。2万円(税別)を超える利益の提供を禁じた電気通信事業法に抵触したためだった。「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」が5月29日に改正され、まさに同ガイドラインでNGの具体例として明示してあった利益の提供を打ち出してしまった。どうやら認識が追い付いていなかったようだ。Rakuten Miniの1円販売に続く意欲的なキャンペーンだったが、みそをつけた。

 改めて振り返ると、楽天モバイルはお粗末ぶりが目立つ。毎月のように何らかの問題を起こしており、通信障害は計4回、総務省による行政指導は計5回を数える。新規参入とはいえ、もはや許されないレベルだ。いまや携帯電話は電気や水道などと並ぶライフラインであり、楽天モバイルは重要な社会インフラを担う一員としての自覚が足りないような気がしてならない。いま一度、襟を正してもらいたいところだ。

楽天モバイル関連の主なトラブル
時期概要
2019年3月6日総務省が基地局整備に関する具体的計画の提出を要請(1回目の行政指導)
7月17日総務省が基地局整備の遅れを解消する修正計画の提出などを要請(2回目の行政指導)
8月26日総務省が基地局整備の確実な実施を指導(3回目の行政指導)
10月下旬「無料サポータープログラム」の提供開始時に開通エラーや接続エラーが相次ぐ
12月1日「無料サポータープログラム」の一部利用者に請求メールを誤って送るトラブル
12月10日「無料サポータープログラム」の一部利用者で音声通話やデータ通信が利用できない状態に
12月13日総務省が通信障害を受け、サービスの安定的提供を要請(4回目の行政指導)
2020年2月17日「無料サポータープログラム」の一部利用者で音声通話やデータ通信が利用できない状態に
3月13日「my 楽天モバイル」(Web/アプリ)などが利用しづらい状態に
3月26日「無料サポータープログラム」の一部利用者で音声通話やデータ通信が利用できない状態に
4月8日「Rakuten Link」登録時に電話番号下6桁の入力によりSMS認証なしで有効になる仕様が発覚(4月13日に改修)
5月1日「無料サポータープログラム」から「Rakuten UN-LIMIT」に同日付で切り替えた一部利用者がデータ通信を使えない状態に
6月26日「Rakuten Mini」の一部で対応周波数帯の変更に伴う認証の取得と正しい認証番号の表記ができていなかったと公表
7月10日総務省が電波法の順守と利用者利益の保護の徹底を指導(5回目の行政指導)
7月16日7月15日に始めた「夏のスマホ大特価キャンペーン」が電気通信事業法に抵触することが判明し、内容を変更
7月17日システムメンテナンスで同日午前8時から午後9時まで音声通話やデータ通信が使えなくなるとの情報を誤って告知