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 KDDIは2022年7月2~4日に起こした大規模通信障害を受け、7月29日にユーザーへの補償内容を公表した。同社の約款には、通信サービスを全く利用できない状態(同程度の状態を含む)が24時間以上続いた場合に損害を賠償すると記載されている。今回の障害でデータ通信は一部使えたため、最終的に約款返金の対象は音声通話サービスのみの契約者に絞られた。

 沖縄セルラー電話を含めた約款返金の対象者は278万人。障害の影響時間は61時間25分に及んだが、返金は24時間ごとの日数計算となるので2日分だけ。基本料を日割りした1日当たりの返金額(平均)は52円となった。

 KDDIは今回、重大性と影響の大きさを受け止め「おわび返金」を別途、実施することにした。こちらは約款返金の2日分ではなく、3日分(156円)に拡大したうえで「おわびの意味を込めて200円(税抜き)にした」(高橋誠社長)。沖縄セルラー電話を含めたおわび返金の対象者は3655万人。2023年3月期の業績への影響は約款返金を含め、約75億円を見込んでいるという。

MVNO大手のIIJも200円のおわび金

 この対応の是非はさておき、筆者が気になったのは同社回線を活用している格安スマホ事業者、すなわちMVNO(仮想移動体通信事業者)の扱いだ。KDDIによると、MVNOの影響数は最大140万回線。KDDIのユーザー(au、UQ mobile、povo)と同じような被害を受けたにもかかわらず、「MVNOへの返金は考えていない」(高橋社長)とした。実際、MVNO関係者によると、KDDIからは約款返金と同様の扱いとなる旨の説明を受けているという。MVNOのサービスはデータ通信が必ず付くため、返金の対象外になる。

 MVNOは「競合」であると同時に、KDDI回線の利用者を広げる「パートナー」でもある。障害発生時はKDDIと同じくクレーム対応に追われた。KDDIのおわび返金が発表されると、大手MVNOを中心に独自の補償を発表する動きも出てきた。オペレーションへの影響だけならまだしも、持ち出しによる補償対応まで余儀なくされている。

 早々に補償を表明したのが、九州電力子会社のQTnetだ。KDDI回線を活用した「QTモバイル(au回線)」について、7月5日の時点で「4日間の利用料金分を返金する」とした。約款上は返金の対象外であるにもかかわらずだ。同社はこの理由について「多大な迷惑と心配をおかけしたおわびで、顧客にいち早く安心してほしかった」と説明する。補償の対象期間も「7月4日の輻輳(ふくそう)解消後に一部でつながりにくい状態が残っており、当社の認識では7月5日の復旧なので4日間とした」(同社)という。