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 スマホの小容量プランにおける競争がにわかに激しくなってきた。KDDIのUQモバイル、ソフトバンクのワイモバイルやLINEMOの値下げで窮地に追い込まれた格安スマホ事業者だが、対抗する動きもある。イオンモバイルを展開するイオンリテールが2021年8月12日に発表した奇策には感心させられた。

家族契約の獲得で巻き返しへ

 まず感心したのが音声基本料の引き下げだ。2021年10月1日から一律で220円(税込み、以下同じ)下げるとした。10月以降の月額基本料はデータ通信量が1ギガバイトで858円、同2ギガで968円、同3ギガで1078円など。回線提供事業者との契約形態を変更することで実現できたといい、「仕入れ値」が安くなった分は利益として取り込む選択もあったはずなのに値下げで攻めてきた。

 もっとも、携帯大手はデータ通信量が3ギガバイトで月990円(一部は光回線や電気とのセット契約、家族契約が条件)の水準まで下げてきており、単純比較ではイオンモバイルのほうがまだ高い。混雑時にどうしても通信速度が落ちやすいという格安スマホ事業者の弱点も踏まえると、パンチ力不足に映る。

 ただ、家族で契約した場合は状況が変わってくる。毎月のデータ通信量を複数人で分け合える「シェア音声プラン」は基本料が330円高くなるが、SIMカードを1枚当たり月220円で追加できる。2人以上で利用すれば1人当たり3ギガバイトでも月990円の水準を下回り、携帯大手に対抗の余地が出てくる。具体的には2人のシェアで月979円、同3人で月836円、同4人で月792円などだ。同社の場合、10ギガバイト以下については1ギガ単位で契約容量をこまめに変更できるため、節約意識の高い家庭を中心に人気を集めそうだ。

家族契約の獲得で巻き返しを狙うイオンモバイル
家族契約の獲得で巻き返しを狙うイオンモバイル
出所:イオンリテール
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2人以上で利用すれば1人当たり3ギガバイトでも月990円の水準を下回る
2人以上で利用すれば1人当たり3ギガバイトでも月990円の水準を下回る
出所:イオンリテール
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