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 携帯電話の通信料金と端末代金の「完全分離」を導入して3年が経過し、効果や課題を検証する議論が総務省の有識者会議で2022年10月から始まった。11月29日の会合では携帯電話各社へのヒアリングが実施された。

 2019年10月施行の改正電気通信事業法では完全分離の導入だけでなく、過度な囲い込みも禁じた。結果、「解約金の撤廃」「MNP(モバイル番号ポータビリティー)手数料の無料化」「SIMロックの原則禁止」などが進み、携帯大手3社は大きなダメージを受けた。ヒアリングでは「泣き」の意見が中心となる展開も考えられたが、出てきたのはさらなる規制強化の提案だった。

携帯4社がそろって同様な提案

 携帯各社がヒアリングで求めたのは、端末の単体販売時の値引きに上限を設けてほしいというものだ。2019年の改正電気通信事業法では、端末の購入を条件とした通信料金の割引を禁止したほか、通信契約とセットで端末を販売する際の値引きの上限を2万円(税別)とした。

 しかし、通信契約とひも付かない端末の単体販売に関しては値引きの上限が設けられていない。この抜け穴を突いて「一括1円」販売が週末などの期間限定で登場し、転売ヤーばかりが利益を得るという新たな問題に発展した経緯がある。

 この抜け穴は完全分離の導入時にも指摘されていたが、通信契約とひも付かない端末の単体販売で大幅に値引きするとは考えにくい。通信契約による継続収入を得られるわけではなく、経済的合理性がないからだ。それでも携帯大手は通信契約の獲得を期待して安値販売に走った。恐らく当初は販売店の誘導などにより、端末の単体販売でも高い割合で通信契約の獲得につながり、徐々に頻度が高まっていったのではないかとみられる。

 ただ転売ヤーに目を付けられてしまった。転売ヤーは業界動向を熟知しており、端末の単体販売を拒否すれば電気通信事業法の規律(第27条の3)違反となることまで把握しているという。相手が転売ヤーだからといって断るわけにはいかない。安値販売を1人1台に制限しても、たくさんの人を連れ立ってやってくる。

 転売ヤー相手では携帯大手も損するだけなので安値販売をやめればよさそうだが、1社が始めると競争上、対抗せざるを得ないという。そこで「規制で止めてほしい」として、今回の提案に至ったわけだ。楽天モバイルの「形を変えて端末購入者への過度な利益提供は継続。資本のある事業者が有利な現状は公正な競争環境ではない」という指摘を含め、携帯4社がそろって似たような提案をしてきたことには驚いた。