
携帯電話大手をはじめとする通信業界の動向を取り上げ、深く斬り込む。
携帯電話大手をはじめとする通信業界の動向を取り上げ、深く斬り込む。
KDDIは2022年7月2~4日に起こした大規模通信障害を受け、7月29日にユーザーへの補償内容を公表した。筆者が気になったのは同社回線を活用している格安スマホ事業者、すなわちMVNO(仮想移動体通信事業者)の扱いだ。「MVNOへの返金は考えていない」(高橋誠社長)という。
KDDIが2022年7月2~4日に起こした大規模通信障害を巡っては、利用者への周知・広報がまずかったとの指摘が多く出ている。金子恭之総務相も7月5日の記者会見で同社の周知・広報に苦言を呈した。とはいえ、利用者への周知・広報はなかなか難しい面がある。
KDDIが2022年7月2日に起こした通信障害は大きな社会問題に発展した。携帯大手の大規模障害は近年だけでも、2018年12月のソフトバンク、2021年10月のNTTドコモ、今回のKDDIと相次いでいる。毎回、影響の大きさに驚かされる。今後は競争を超えた協調も必要なのではないか。
総務省がここ数年で打ち出してきた数々の施策により、消費者は携帯電話会社を簡単に乗り換えられるようになった。従来のように契約期間を気にする必要はなく、解約金なしでやめられる。他社への同番移行にも手数料がかからない。便利になったとつくづく感じるが、新たな問題も生まれている。
中古スマホ市場がじわじわと広がりを見せている。MMD研究所が2022年5月に発表した調査結果によると、利用中のメイン端末について「中古スマホ」と回答した人が全体の11.6%を占めた。もっとも、総務省の有識者会議が実施した業界団体への公開ヒアリングによると、課題はまだまだ多そうである。
NTTドコモが全国に約2300店舗ある販売店「ドコモショップ」について、2025年度ごろまでに3割程度(約700店舗)減るとの見通しを立てていることが明らかになった。2022年3月には400~500店舗の閉店を計画しているとの報道も一部で出たが、これを上回る規模となりそうだ。
携帯各社が喉から手が出るほど欲しがる周波数。保有する周波数帯域が多いほど高速・大容量化につながるからだが、総務省が2022年2~3月に募集した2.3ギガヘルツ帯周波数の割り当てにKDDIしか申請しないという珍事があった。早ければ5月中旬にも同社への割り当てが決まる見通しである。
総務省は携帯ショップに対する覆面調査の結果を2022年4月25日に開催した有識者会議で公表した。電気通信事業法で定める上限(税別2万円)を超えた利益提供(割引)など違反または違反が疑われる事案が多数見つかった。総務省は違反を撲滅したい考えだが、どのような策を打ち出してくるだろうか。
スマートフォンなどの対応周波数問題を巡る議論が総務省の有識者会議で本格化してきた。SIMロックを解除した端末でも周波数が移行先の携帯電話事業者に対応していなければ快適に利用できずユーザーの乗り換え障壁となるため、「主要周波数への対応を義務付けるべきだ」といった強硬な意見が出ている。
携帯大手で中古iPhoneを販売する動きが進んでいる。KDDI(au)は他社に先駆けて2020年から展開していたが、ソフトバンクが2022年1月19日から、NTTドコモも2022年3月23日から提供を始めた。スマホ購入時のユーザーの選択肢が広がり、中古スマホ市場の拡大につながりそうだ。
NTTドコモの店舗「ドコモショップ」を運営する販売代理店が苦境に立たされている。ドコモは販売手数料や各種支援費が手厚いことで知られるが、2021年度から引き締めを強化。2022年度にはドコモショップを100カ所程度減らす方針も明らかになった。販売代理店からは悲鳴と不満の声が出ている。
格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)がデータ通信サービスの提供に当たって携帯大手に支払うデータ接続料の低廉化が進んでいる。NTTドコモが近く公表する2022年度適用のデータ接続料は前年度に比べて28%減となるもようだ。
通信大手の2021年4~12月期連結決算は3社とも好調だった。KDDIやソフトバンクは携帯電話料金の引き下げで年間700億円前後の減収影響を見込むが、他事業の成長できっちり補ってきた格好だ。好調ぶりが際立っていたのはNTTである。
携帯大手の料金プランが不当な競争を引き起こすものとなっていないか検証する「スタックテスト」の本格的な導入に向けた議論が総務省の有識者会議で始まった。2022年1月31日の公開ヒアリングで意外にも集中砲火を浴びたのは楽天モバイルだった。
総務省でブロードバンドの「ユニバーサルサービス化」に向けた議論が進んでいるのをご存じだろうか。固定電話では離島や山間部などの不採算地域における赤字の一部を補填する「ユニバーサルサービス交付金制度」がある。不採算地域のブロードバンドについても交付金制度を新たに設けようというわけだ。
官製値下げで激動の1年だった2021年の携帯電話業界。2022年はどうなるだろうか。もはや携帯大手には値下げの余力がなく、料金競争は2021年で一段落するとみる株式市場関係者が多い。ただ、新規参入の楽天モバイルがこのまま黙っているだろうか。
携帯電話の値下げ競争が2020年12月に勃発してから1年が経過した。携帯大手3社はモバイル通信料収入の減少で打撃こそ受けたが、各社の力関係に大きな変化は見られず、新規参入した楽天モバイルの躍進が目立った1年だった。他方、格安スマホ事業者には厳しい調査結果が出ている。
携帯大手には圧倒的な交渉の優位性があり、立場の弱いMVNO(仮想移動体通信事業者)は事前相談の段階で難色を示されて協議に至らない――。総務省がこうした状況にメスを入れる。5G(第5世代移動通信システム)の大本命とされるSA方式の導入を控え、MVNOには追い風となりそうだ。
楽天モバイルの元社員が前職のソフトバンクから機密情報を不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で警視庁に逮捕された事件。ソフトバンクは楽天モバイルと元社員に対し「約1000億円の損害賠償請求権」を主張しており、その根拠がようやく分かったので紹介したい。
KDDIのオンライン専用ブランドpovo(ポヴォ)が好調だ。2021年9月29日に提供を始めた新料金povo2.0はスタートダッシュでつまずいたものの、契約数は約1カ月半で10万件の上乗せに成功。11月以降は本格的な拡販を始める予定で、大化けの可能性を秘めている。