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 デジタルデータソリューションの上谷宗久氏は「我々がこれまでに対応した18万件の統計を見ると、HDDは5年前後で故障しているケースが突出しています。SSDも同じくらいですが、製品の歴史が長い分、HDDのほうが信頼性は高いかと思います」と語る。

デジタルデータソリューションのデータ復旧ラボ。
デジタルデータソリューションのデータ復旧ラボ。
(出所:デジタルデータソリューション)
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 端末本体の道具としての劣化は5年より早いかもしれない。パソコンはOSのサポート期限が切れると、セキュリティー上の問題からインターネットに接続したときの危険性が高まるし、トラブルが発生した際の対応策が少なくなっていく。スマホはパソコン以上に性能や機能の陳腐化が早いのではないだろうか。例えば、5年前の2014年4月に出回っていたiPhoneはiPhone 5s/5cだ。

デジタル遺品をあやふやな状態にしない

 インターネット上に保存しているデータも、サービス提供側の状況に左右されるので安泰とは言えない。結局のところ、デジタルデータは精密機械や流行のサービスという不安定な“器”によって存在を保っている。紙のほうがよほど長寿命だと言える。

 ただし、消滅したと思っていたのに残っていることもあるのがデジタルデータの難しいところだ。端末上ではHDDやSSDを初期化しても復旧可能なケースがあるし、OSから把握できない領域のデータは気付くこと自体が難しい。インターネット上では、10年以上前に炎上した犯罪自慢の人物の名前が今でもすぐに検索できたりする。

 つまるところ、デジタル遺品はなるべくあやふやな状態にしないことが重要だと言える。「確実に残す」なら、定期的にバックアップとメンテナンスをすることだ。「確実に消す」なら、HDDの物理的な破壊や信頼できる企業への売却、個人情報のようなインターネットで公開されているとリスクがある情報を調査して必要な対策を取るべきだ。

古田 雄介(ふるた ゆうすけ)
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット跡を濁さず」(d.365)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。著書に「ここが知りたい! デジタル遺品」(技術評論社)、「故人サイト」(社会評論社)、「死とインターネット」などがある。