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 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中の航空会社が存続の危機に立たされているが、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)にとってはこのような状況すら追い風になっている。経営危機の航空会社から飛行機を中古で買い取り、アマゾン専用輸送網の増強に動いているからだ。

 アマゾンが米Delta Air Lines(デルタ航空)から米Boeing(ボーイング)製の中型機767-300を7機、カナダのWestJet Airlines(ウエストジェット航空)から同じく767-300を4機購入すると発表したのは2021年1月5日のこと。アマゾンは買い取った合計11機の航空機の改装を済ませたうえで、2022年までにアマゾンの航空輸送網である「Amazon Air」で運用するとしている。

 2015年に「Amazon Prime Air」との名称で開始し、2017年に現在の名称へと変更したAmazon Airは、顧客が同社のeコマースサイトで購入した商品の小包を配送するためだけに設けられた航空輸送網だ。アマゾンは2020年6月の時点で70機の航空機をAmazon Air用にリースで導入しており、その数を2021年までに80機へ増やすとしていた。航空機をリースではなく購入すると発表したのは今回が初めてで、2022年にはAmazon Airの航空機は90機を超えることになる。

 同社でAmazon Airを担当するSarah Rhoads(サラ・ロードス)バイスプレジデントは「我々のゴールは米国中の顧客がアマゾンに対して期待するやり方で配達を続けることであり、我々専用の航空機を購入するのは、ゴールを達成するための次の一手として自然なものだった」とプレスリリースで述べている。

空港に物流ハブも整備中

 アマゾンで顧客が注文した商品は近くにある配送センター(フルフィルメントセンター)からのみ届くのではない。顧客から離れた場所にあるフルフィルメントセンターで箱詰めされて届くことも多い。在庫切れによる販売機会の損失をなるべく避けるためだ。国土の広い米国の場合、顧客から数百~数千キロメートル離れたフルフィルメントセンターから届くことも珍しくない。トラックで運んでいては数日かかるため、航空輸送を積極的に活用している。

 こうした事情から米国では、空港の近くにアマゾンのフルフィルメントセンターが設けられることが多い。筆者が2018年秋に取材で訪問した米ワシントン州にあるアマゾンのフルフィルメントセンター「BF14」も、シアトル・タコマ国際空港から15分ほどの距離にあった。アマゾンは現在、Amazon Airの取り組みとして専用の貨物機を飛ばすだけでなく、米国や欧州の空港にAmazon Air専用の物流ハブまで設けている。

シアトル・タコマ国際空港の近くにあるアマゾンのフルフィルメントセンター
シアトル・タコマ国際空港の近くにあるアマゾンのフルフィルメントセンター
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