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 米Alphabet(アルファベット)の2020年12月期決算は非常にインパクトがあった。同じ日に米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がCEO(最高経営責任者)からの退任を発表した陰に隠れてしまったが、Google Cloudが3年間で146億ドル(約1兆5700億円)もの営業赤字を出していたことが分かったからだ。

 アルファベットがGoogle Cloudの営業損益を明らかにしたのは、2021年2月2日(米国時間)に発表した2020年12月期決算が初めてだった。Google Cloudの2020年12月期の通年売上高は前年同期比46.4%増となる130億5900万ドルだったが、56億700万ドルの営業損失を計上した。

Google Cloudの過去3年間の業績(単位は百万米ドル、▲はマイナス)
2018年2019年2020年
売上高5,8388,91813,059
営業損益▲4,348▲4,645▲5,607

 Google Cloudの売上高は2018年12月期が58億3800万ドル、2019年度が89億1800万ドルであり、この期間に2.2倍に増えた。それに比べて営業損失は1.3倍にしかなっていない。とはいえ3年間で146億ドルもの営業損失はなかなかのものである。

 直近、2020年10~12月期におけるGoogle Cloudの業績は、売上高が38億3100万ドル(前年同期比46.5%増)で、12億4300万ドルの営業損失だった。決算説明会でアルファベットのRuth Porat(ルース・ポラット)CFO(最高財務責任者)は、クラウド事業の営業損失には季節変動があり、1~3月期が最も悪くなると述べている。2021年1~3月期のGoogle Cloudの営業損失は前四半期を上回る状況であると予告した格好だ。Google Cloudの営業赤字体質は当面続きそうだ。

 アマゾンは2015年1~3月期決算からAmazon Web Services(AWS)の業績を公開し始めた。2016年1月には2013年12月期にまで遡ってAWSの売上高と営業損益を公開している。2015年12月期のAWSの売上高は78億8000万ドルと現在のGoogle Cloudより小さかったが、18億6300万ドルの営業利益を出していた。31億800万ドルとさらに売り上げが小さかった2013年12月期でも6億7300万ドルの営業利益を確保している。そして2020年12月期にはAWSの売上高は453億7000万ドル、営業利益は135億3100万ドルにも達している。AWSとGoogle Cloudの業績はまさに対照的だ。

Amazon Web Servicesの公開当初と現在の業績(単位は百万米ドル)
2013年2014年2015年2020年
売上高3,1084,6447,88045,370
営業損益6736601,86313,531

 なぜGoogle Cloudはこれほどまで巨額の営業赤字を出しているのか。アルファベットのSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEOは決算説明会で「我々が直面している(クラウド)市場の勢いに見合った投資を続けている」と述べ、先行投資のターンにあるからだと説明した。

エンタープライズ向けの直販営業を強化

 特に力を入れているのは、営業の強化だ。ポラットCFOは決算説明会で「我々はクラウドの直接販売営業部隊の規模を3倍にするという短期間のゴールを間もなく達成しそうだ」と述べた。Google Cloudは2019年に米Oracle(オラクル)出身のThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏をトップに据えて以来、エンタープライズ営業を強化してきた。