米アマゾン・ドット・コムが自社の手の内を明かし始めた。2019年6月4日(米国時間)から米ラスベガスで開催中の「Amazon re:MARS」カンファレンスでは、AI(人工知能)やドローン、ロボティクスなどに関する自社開発技術の詳細を積極的に開示している。
Amazon re:MARSのMARSとは「火星」のことではなく、Machine Learning(機械学習)、Automation(自動化)、Robotics(ロボティクス)、Space(宇宙)の頭文字。同カンファレンスには世界中から起業家や技術者、科学者、そして宇宙飛行士などが集まり、MARSに代表される最新テクノロジーを活用して世界を良くする方法について議論している。
興味深いのはアマゾンがこのカンファレンスで、eコマースサイトの「Amazon.com」やその物流センター「フルフィルメントセンター」で使用するために開発した独自のAI(人工知能)やロボット技術を積極的にアピールしていることだ。
これまで同社は「Amazon Web Services(AWS)」に関する内容以外は、あまり手の内を明かそうとはしてこなかった。AWSは外部の顧客に提供するITサービスであるため、顧客にその詳細を知ってもらう必要がある。それに対して外部に販売せずに社内でだけ使っている技術は、社外に公開する理由がないからだ。
Amazon GoのAIやドローンの安全技術を公開
それが今回のAmazon re:MARSでは無人コンビニ「Amazon Go」を支えるAIの詳細や、ドローンを使った配送サービス「Amazon Prime Air」における安全性確保策の詳細などを基調講演や技術セッションで公開している。アマゾンにとっては大きな方針転換だと言えるだろう。