全1731文字
PR

 米Microsoft(マイクロソフト)がWebブラウザーのEdgeをオープンソースソフトウエア(OSS)のChromiumベースに切り替えたことで、ブラウザー戦争は米Google(グーグル)の完勝で幕を閉じた、と思っていたのだが、どうもそうではないようだ。法人向け市場でマイクロソフトがグーグルに対し、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を巻き込んだ新たな攻勢を仕掛けていた。

 筆者は最近、若手記者と組んでInternet Explorer(IE)のサポート終了に関する話題を追いかけている。その取材の過程で日本マイクロソフトが最近、法人に対してChromium版Edgeをとても熱心に売り込んでいることを知った。

 かなりの人数のエンジニアを動員してユーザー企業がIEからChromium版Edgeに移行するのを支援している。情報システム部門などを対象にChromium版Edgeの講習会を無償で開催したり、IEでしか利用できないWebサイトの改修を手伝ったりしているのだ。

 マイクロソフトはWindows 10におけるIEのサポートを2022年6月に終了する。これらの取り組みはユーザー企業の「脱IE」を支援するものだが、別の目的もある。ユーザー企業に脱IEしてもらいたいのであれば、ChromeでもFirefoxでも使ってもらえばいい。それでもマイクロソフトがChromium版Edgeへの移行に力を入れるのは、自社製Webブラウザーをユーザー企業に使ってもらうことが自社のSaaSビジネスにとって重要だと考えているからだ。

「Microsoft 365部門」がEdge普及に動く

 日本マイクロソフトでChromium版Edgeへの移行支援を担当しているのは、Microsoft 365の部門である。Microsoft 365にはオフィスアプリケーションだけでなく、法人向けデスクトップOSのWindows 10 Enterpriseやデバイス管理サービスであるMicrosoft Intuneなども含まれている。Chromium版Edgeへの移行を支援する際には、Active Directory(AD)のグループポリシーやIntuneによってEdgeを一元管理する方法などもユーザー企業に伝えている。

 実はグーグルのChromeや米Mozilla Foundation(モジラ財団)が開発するOSSのFirefoxも、グーグルやモジラ財団が用意した管理用テンプレートを追加すればADのグループポリシーで一元管理できる。ユーザー企業が設定などを一元管理できるという点ではChromium版EdgeもChromeもFirefoxも同じだ。