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 米国防総省が大型のクラウド契約を米マイクロソフト(Microsoft)と締結し、最有力だった米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services、AWS)が敗退したことが大きな話題を呼んでいる。クラウド間の技術格差がなくなったことの象徴だと見なせるためだ。クラウドの競争は今後、ますます激化しそうだ。

 国防総省は2019年10月25日(米国時間)に「エンタープライズ汎用クラウド(Enterprise General-Purpose Cloud)」の契約をマイクロソフトと締結したと発表した。通称「JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)」として知られる大型クラウド調達だ。米国の報道によれば国防総省は省内システムの80%をJEDIに移行する考えだという。

 国防総省はこれまでサブシステムやプロジェクトごとに異なるクラウド契約を結んでいたため、調達コストやシステム運用コストの高止まりが課題になっていた。プレスリリースによれば同省が過去2年間に結んだクラウド契約は10種類にも及び、契約金額は合計110億ドル(約1兆2000億円)にも達していたという。国防総省は様々なクラウドで稼働しているシステムをJEDIに移行することで、クラウド運用の効率改善を図る。

 JEDIに関してマイクロソフトと結んだ基本契約は2年間で、同省がマイクロソフトに支払うと保証した金額は100万ドル(約1億円)に過ぎない。同省内のユーザーは個別の判断でJEDIを利用する。その金額について同省は「2年間で2億1000万ドル(約230億円)」と見積もる。これだけでは「大型契約」とは言いがたいが、米報道によれば契約期間は10年以上が見込まれているため、その調達規模は最大で100億ドル(1兆900億円)になると見込まれている。

最有力はAWSだったが敗北

 国防総省がJEDIの調達プロセスを開始したのは2017年10月のことで、下馬評はAWSが最有力だった。AWSは2013年にCIA(米中央情報局)から6億ドル(約600億円)のクラウド契約を受注しているためだ。

 しかもCIAとの契約は当初、CIAの中にAWSのソフトウエアを使ってプライベートクラウドを構築するというものだったが、AWSはその後、プライベートクラウドをAWSのパブリッククラウドに「巻き取る」のにも成功している。CIAは2017年にAWSが米国の情報機関向けに提供している専用リージョン「Secret Region」に移行すると明かしている。CIAによるパブリッククラウドへの移行は2023年までに完了する予定だ。

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