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 「Google Cloud Platform(GCP)という名称は無くなったんです」――。先日、日本のあるシステムインテグレーターからこう伝えられて驚いた。PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)とIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の総称であるGCPという名称は廃止となり、単に「Google Cloud」とだけ呼ぶようになったというのだ。

 そのシステムインテグレーターはグーグルのパートナーとしてGCPを販売しているので、顧客向けのドキュメントなどの修正に追われているのだという。クラウドに関する記事を書く我々にとっても重要なのでグーグルの広報部門に確認したところ、情報は本当だった。

G SuiteとGCPが同時に消滅

 名称が廃止になったのは2020年10月で、グーグルのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)であるG Suiteが「Google Workspace」に改称されたのと同じタイミングだった。これまではGoogle Cloudというのは同社のクラウド事業の総称で、その下にSaaSであるG SuiteとPaaS/IaaSであるGCPというサービスが存在していた。それが今後は、Google WorkspaceとGoogle Cloudは並列の関係になった。

 もっともグーグルとしても「Google Cloud PlatformやGCPという名称を使わないでください」と伝えているのは社内やパートナー相手だけで、顧客や我々メディアに対しては特に周知はしていないのだという。実際、G SuiteからGoogle Workspaceへの改称に関してはプレスリリースが出ている一方で、Google Cloud Platform/GCPの名称廃止については発表は無かった。「随時変わっていけばよい程度の変更」というのがグーグル広報担当者の説明であった。

 そうは言っても、Google Cloud PlatformやGCPが正式名称でなくなった以上、我々メディアとしては記事でこうした名称を使うわけにはいかない。それが基本スタンスだ。とはいえ、単にGoogle Cloudと記事に書いても読者にはそれが何を指すのか分からないだろうから、仮想マシンサービスのGoogle Compute Engine(GCE)やコンテナサービスのGoogle Kubernetes Engine(GKE)、PaaSのGoogle App Engine(GAE)など、GCPの個別サービスの名称を示していくことになる。正直に言うと、面倒だ。

 G SuiteからGoogle Workspaceへの名称変更も「米Facebook(フェイスブック)の法人向けサービスであるWorkplaceと区別が付きにくくてややこしい」など評判は良くない。こうした顧客にとってのメリットがよく分からない名称変更を敢行する最近のグーグルに対しては、筆者はある思いを抱いてしまうのである。「嫌なところが米Microsoft(マイクロソフト)に似てきたな」と。

Office 365に続き「ATP」も廃止したマイクロソフト

 製品やサービスに関する分かりにくい変更をよく行うベンダーと言えば、やはりマイクロソフトである。最近もユーザーにはATPの略称で親しまれていたEDR(エンドポイント・ディテクション&レスポンス)製品の名称を「Microsoft Defender for Endpoint」に変更した。2020年4月には同社の看板クラウドサービスだったOffice 365の名称を、それまでは法人向けのセキュリティーサービスを中心としていた「Microsoft 365」に一元化している。日本ではOffice 365のことを「オーサンロクゴ(O365)」と略す人も多かったが、その略称も使えなくなってしまった。