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 2020年に本コラムを更新するのも、これで最後になった。そこで今回はGAFAの2021年を占ってみよう。米アップル(Apple)と米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)にとってはかなり明るい新年になりそうだが、米グーグル(Google)と米フェイスブック(Facebook)には懸念事項が満載で、気の重い1年になりそうだ。

 アップルにとって2021年は、かなり良い年になりそうだ。Macのプロセッサーを米インテル(Intel)製から自社製に切り替えるという仕事が、スムーズに進むことが確実になってきたからだ。プロセッサーの切り替えは本来であれば相当に難しい仕事だが、2020年11月に発売したM1チップ搭載Macは安価かつ高性能という評価がもっぱらで、幸先の良い移行のスタートを切ることができた。

 これまでのArmプロセッサーというと、省電力ではあるのだが、性能ではインテルに及ばないというのが通例だった。パソコンOSのArmプロセッサー移行という点では、米マイクロソフト(Microsoft)がアップルを先行していたわけだが、マイクロソフトブランドのArmプロセッサーMicrosoft SQ1/SQ2を搭載するSurface Pro Xは、既存のWindowsアプリケーションについては32ビット版しか利用できないという事情もあり、ヒットしたとは言いがたかった。

 マイクロソフトは2020年11月に、64ビット版Windowsアプリもエミュレーションで利用できるArm版Windows 10の評価版を公開しているため状況は改善しそうだが、プロセッサーの性能に関しては米Bloomberg(ブルームバーグ)が12月に報道した「マイクロソフトが自身で設計するArmプロセッサー」が登場するまで、挽回は難しそうだ。この分野でのアップル優位はしばらく続くことになるだろう。

次はサーバー向けArmプロセッサーに期待

 前述のブルームバーグの報道では、マイクロソフトは自社で設計したArmプロセッサーをクラウドインフラストラクチャーでも利用するとされている。となるとサーバー向けArmプロセッサーの分野では、マイクロソフトと米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)が火花を散らすことになりそうだ。

 AWSはサーバー向けのArmプロセッサーAWS Gravitonを自社開発し、2018年からAmazon EC2のインスタンスとして提供している。2019年には第2世代のAWS Graviton2をリリースしている。2020年11~12月に開催したAWS re:Inventで発表された新プロセッサーは、機械学習のトレーニング(訓練)に特化したAWS Trainiumで、こちらは米Nvidia(エヌビディア)のGPUやグーグルのTPUが主な競合になる。

 AWS Gravitonは、価格の安さがコンピューティングリソースを大量に消費するWebサービス企業などに支持されているが、パフォーマンスではまだインテルプロセッサーに及んでいない。アップルのM1のように、AWS Gravitonがパフォーマンスの面でも評価されるようになれば、AWSにとって大きな武器になる。そうしたプロセッサーを開発できるかどうかが、AWSにとっての2021年の大きな挑戦になりそうだ。

AWSの量子コンピューター開発にも注目

 AWSに関して筆者は「いつ量子コンピューターの自社開発を正式に表明するか」についても注目している。米Fortune(フォーチューン)は2020年12月に、AWSが自社サイトで「量子ハードウエア開発エンジニア」を募集していると報じている。

 AWSは2020年6月に、量子コンピューター分野のご意見番である米カリフォルニア工科大学のJohn Preskill(ジョン・プレスキル)教授が、AWSの量子コンピューター研究チームに参画したことも発表している。既に他社の量子コンピューターをクラウドサービスとして提供しているAWSであるが、ハードウエアの自社開発も始めている可能性が高い。2021年は量子コンピューターの覇権争いが、ますます過熱することになるだろう。