情報システムに関わる大型訴訟が頻発している。三菱食品がインテックを訴えた件は損害賠償請求額が127億円と、スルガ銀-IBM裁判の当初請求額を上回った。裁判資料や判決文を基に巨額裁判の経緯を紐解き、システム開発の実務への教訓を引き出す。

情報システム大訴訟時代
目次
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IT裁判は他人事ではない、あなたの会社の「法務対応」は大丈夫ですか
訴訟リスクを回避するためには、情報共有の仕組みを作る一方でシステム開発に関わる法律面を押さえておきたい。専門家が指摘する三つの注意点を紹介する。
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システム開発の「泥沼」訴訟を防ぐカギは「人」にあった
法廷紛争はユーザー企業もベンダーも望んでいない。だが、契約書だけで想定外のトラブルを回避するのは困難。ベンダーとの関係を支える「人」に関わる仕組み作りが必要だ。フィリップモリスなど3社はトラブルの経験を生かし、どのように行動したのか。
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「分厚い契約書」を用意するだけでは、IT裁判は防げない
システム開発を巡り、大型訴訟が多発している。経営を取り巻く環境が大きく変わり、「水面下での手打ち」が困難になっているからだ。契約書を交わすだけではトラブルを回避できない。訴訟リスクの回避策を改めて見直す時期に来ている。
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システム開発に失敗して裁判までもつれる事態を避ける3つの対策
ユーザー企業とITベンダーの不毛な対立のない、成熟したシステム開発。日本のIT業界は、この成熟の道どころか、退化の道を進んでいないだろうか。数々のIT訴訟やトラブルの実例に基づき、日本のシステム開発を成熟の道へ進めるための「三つの新常識」を示す。
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三つのIT裁判に見る、プロジェクト失敗の真因
旭川医大とNTT東日本、トクヤマとTIS、読売新聞とアクセンチュア。いずれも、パッケージ導入の失敗をめぐり、訴訟で責任の有無を争った。これらの事例は、パッケージ導入の難しさや課題を浮き彫りにする、貴重な教材だ。裁判資料を基に、プロジェクト失敗の真因を読み解く。
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IT訴訟、ユーザー企業が陥りがちな3つの落とし穴
「動かないコンピュータ」裁判(IT訴訟)をつぶさに分析すると、システム開発に潜む思わぬ落とし穴が見えてくる。ユーザー企業とITベンダーの主張が衝突する裁判での主張や判決文を基に、近年のIT訴訟に見えるトラブルの特徴や傾向を解剖する。
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文化シヤッター訴訟はベンダー側も反訴、頓挫の裏にPaaSのリスク
アルミ建材大手の文化シヤッターが約27億4000万円の損害賠償を求めて2017年11月に日本IBMを訴えた裁判は、現在も東京地方裁判所で継続中だ。訴えられた側の日本IBMは2018年3月、追加作業の未払い金など12億1000万円の支払いを求めて反訴した。
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三菱食品-インテック裁判、127億円の巨額賠償を巡る争点
「問題点を指摘したにもかかわらず、(インテックは)適切な措置を講じることなく、システムの完成が不可能になった」。三菱食品は2018年11月、システム開発の失敗を巡り委託先のインテックを東京地方裁判所に提訴した。
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野村-IBM裁判で16億円の賠償命令、「痛み分け」の深層
システム開発の失敗を巡り、野村ホールディングス(野村HD)と野村証券が日本IBMに計36億円の損害賠償を求めていた裁判で、東京地方裁判所は2019年3月20日、一部の請求を認めて日本IBMに約16億円の支払いを命じた。日本IBMによる反訴の請求は棄却した。