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ラグビーは多様性の塊

神武 では次に廣瀬さん、お願いします。

廣瀬 私は大阪府出身で、5歳でラグビーを始めました。豊中市立の中学校、高校は大阪府立の北野高校に進み、そこから慶應義塾大学に進学しました。学部は理工学部機械工学科で、振動工学の勉強をしていました。卒業論文は、電車のパンタグラフと架線が離れると、電気が継続的に流れないので、それを避けるためにどうしたらいいかという基礎的考察がテーマでした。今振り返ってみると、よく分かっていないですけど(笑)。

大阪府立北野高校ラグビー部時代の廣瀬氏(左から4番目)
大阪府立北野高校ラグビー部時代の廣瀬氏(左から4番目)
(写真提供:廣瀬俊朗)
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 大学を卒業して東芝に入社し、最初は研究開発センターに配属されました。実際にはラグビーがメインで、実験のお手伝いをちょっとするぐらいでした。ただ、他の人が研究していたり、商品化されるのを横で見たりしていました。

 ラグビーのキャプテンの経歴は、高校日本代表に始まり、大学、東芝、そして日本代表でもやらせてもらいました。自分ではそんなキャラクターじゃないと思っていたんですけれど、たまたまキャプテンに選んでいただき、チームの事を考える機会が多くなりました。今、現役を引退してこのような立場になって、リーダーシップについて何となく分かるようになったと感じています。

東芝ブレイブルーパスの選手時代の廣瀬氏
東芝ブレイブルーパスの選手時代の廣瀬氏
(写真提供:廣瀬俊朗)
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 前田さんは“サッカー派”ということなので、ラグビーについて少し説明をします。ラグビーは15人対15人でやるスポーツなので、多様で“多変量解析”なところが結構あります。

 ポジションの種類は10個ほどあります。僕はバックス(後方のポジションでボールを敵陣に運んで得点するのが主な役目)の選手ですが、フォワード(前方のポジションでボールを奪うのが主な役目)の選手はスクラムでぶつかり合います。あんなことは1回もやったことがないです。

 ボールか、ボールを持った選手が競技エリアのライン上もしくはライン外に出た場合に「ラインアウト」といって両チームのフォワードの間にボールを投げ入れて奪い合うプレーがあります。そのとき、ボールを奪いやすいよう、1人の選手を高く持ち上げたりするんですが、それも1回もやったことがありません。

 同じ競技で同じフィールドにいるんですが、自分がやったことがないプレーをしているいろんな人が集まってきて、1つのチームを構成している点は、前田さんが今、やられていることと、結構近いのかなと思います。

 あと、ラグビーが面白い点は、国籍が多様なことです。日本の国籍を持っていなくても、日本代表のために戦えます。他国での代表歴がなく、日本に3年以上継続して居住し、プレー(2020年12月31日からは5年以上に変わる)注2)していたりすれば日本代表資格が得られます。

注2)この他、出生地が日本、もしくは両親または祖父母のうち1人が日本出身であっても資格を得られる。

 このため、チームメイトにはアジア系の人や、オーストラリア、ニュージーランド、トンガ、フィジーなどさまざまな国籍の人がいました。いろんなバックグラウンドを持った人たちが、いかにして気持ちを1つにしてチームのために戦い、勝って喜ぶか、というのがとても大事な部分です。

 この点は、これからの社会に求められていることにすごく近いと思っています。ラグビーワールドカップを通して、ラグビーの価値、そしてスポーツの価値が世の中にもう少し広く伝わればとてもうれしいです。