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データ戦略を推進し、市場開拓の手立てに

『モンスターハンター:ワールド』が話題の中心だった18年ですが、19年はどのような年になりそうですか。

1月25日に発売した『バイオハザード RE:2(以下、RE:2)』が発売初週で300万本を出荷し、1カ月で400万本まで伸びるという好調な出足となりました。過去、非常に評価の高かった『バイオハザード2』を、『バイオハザード7』で導入した「RE ENGINE」という最先端の開発環境で再構築した作品ということもあり、『RE:2』と『バイオハザード7』で、ユーザーの傾向にどのような違いが生じるか注目しています。

『バイオハザード RE:2』(c)CAPCOM CO., LTD. 1998, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
『バイオハザード RE:2』(c)CAPCOM CO., LTD. 1998, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.

 あとは引き続き『モンスターハンター:ワールド』で培ったデジタル戦略を推進していきます。3月8日に発売した『デビルメイクライ5』でも、『RE:2』で得たデータや経験をフィードバックしていくつもりです。さらにそれらの知見を、19年秋に配信を予定している『モンスターハンターワールド:アイスボーン』に生かしていくことが大切でしょう。デジタル化によって、ゲームソフトも昔のように売って終わりのビジネスではなくなりました。イノベーションを起こせるとしたら、データ活用を継続しながら事業戦略を強化していくことだと思います。

『デビルメイクライ5』(c)CAPCOM CO., LTD. 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
『デビルメイクライ5』(c)CAPCOM CO., LTD. 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(c)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(c)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

この1年のデジタル戦略からカプコンが得た経験を踏まえたうえで、日本のゲーム産業の変化をどう見ていますか。

すでにゲーム以外の娯楽はデジタルで楽しめるようになっています。家に帰ってから好きな時に映画を見たり、電子書籍を読んだりすることが簡単にできます。デジタル配信によって、ゲームもそうした選択肢の一つとなりました。ゲーム業界にとって、チャンスが増えていると言えますね。

 デジタル配信によってユーザーの姿がより明確に見えてきました。例えば『モンスターハンター:ワールド』では、15歳くらいになると自分でゲームを購入し始める傾向があることが分かってきました。iPhoneの発売が07年ですから、彼らが5~6歳くらいのときには身近にスマートフォンがあるという世代です。そうした子どもたちが『モンスターハンター:ワールド』をプレーするために、初めてゲーム専用機であるPlayStation4を買ったわけです。

 スマホですでにゲームに触れてきた若い世代でも、ゲーム専用機を知らない人たちもたくさん存在しています。彼らが次世代のユーザー層になるわけです。こうしたことも、データがあるからより精度の高い仮説が立てられ、決断ができるのです。

最後になりますが、CESA(コンピュータエンターテインメント協会)のイベント委員長として今年のTGSについて抱負をお聞かせください。

TGSはマルチプラットホーム、マルチデバイスにおいて、さまざまなゲームを4日間で認識してもらえる機会として国内外に定着しました。eスポーツに関しても、TGSの場を活用して日本に向けた普及活動ができたと思っています。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)もそうですし、昨年は「日本ゲーム大賞U18部門」をTGSで開催し、若い人材の発掘にも力を入れました。ゲームにまつわる幅広い企画やコンテンツを入れ込んできたからこそ、出展社や来場者が増えてきたという経緯があります。今年のTGS2019でも、さらに企画やテーマ性を強化し、いかにしてゲームが進化していくのかということを実感してもらえるイベントにしたいと考えています。

辻本春弘(つじもと はるひろ)氏
カプコン 代表取締役社長 最高執行責任者(COO)。1964年、大阪府生まれ。大学在学中よりアルバイトとしてカプコンで働き始め、機器の修理などの現場業務の経験を積む。1987年、大学卒業と同時にカプコンに入社。当時の新規事業だったアミューズメント施設運営事業の立ち上げに参加し、業界ナンバーワンの高収益ビジネスモデルの確立に貢献。1997年には取締役に就任し、以後は家庭用ゲームソフト事業の強化に注力。常務取締役(1999年~)、専務取締役(2001年~)を経て、2004年からは全社的構造改革の執行責任者として、コンシューマ用ゲームソフト事業の組織改革(開発・営業・マーケティングを一体化した組織への改革)、海外事業の拡大などに携わる。2006年に副社長執行役員となり事業全体を統括。2007年7月には創業者である父・辻本憲三(現、代表取締役会長最高経営責任者)から社長職を引き継ぎ、代表取締役社長 最高執行責任者(COO)に就任し、現在に至る

(写真/稲垣純也、写真提供/カプコン)