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 今回は、部下が低い目標を設定するという悩みを持つ足立課長(仮名)さんからの相談です。

 私(足立課長)は、部下に自主的に目標を設定させるようにしています。その方がモチベーションが高まると考えたからです。ところが、意図的に目標を低めに設定する部下が出てきて困っています。目標を達成することだけを重視してしまうのです。私としては、目標に対して部下に責任を持たせたいし、会社から求められるチームの目標も達成しなければなりません。部下にもっと意欲的な目標を立てさせるには、どうすればよいでしょうか。

 部下は、上司が期待する仕事の成果を出せるように行動しなければなりません。ボトムアップ式で部下が目標を設定したとしても、上司はその目標を承認して遂行させる責務を果たす必要があります。

 部下が成長するには、適切な目標を設定して取り組ませることが大切です。では、どのように目標を設定すればよいでしょうか。

ストレッチ目標とは

 ストレッチ目標という概念があります。ストレッチ目標とは、手を伸ばせば届くような目標ではなく、背伸びをして手を伸ばさないと届かないような目標です。今の実力から少し無理をしなければ届かないレベルに目標を設定することにより、その目標を達成するために本人には最大限の能力を発揮することが求められます。高い目標を達成するためには、新たな発想や革新的な方法が必要となるのです。

 元米ゼネラル・エレクトリック(GE)最高経営責任者(CEO)のジャック・ウェルチ氏は、「手の届く位置よりも達成が難しい位置に目標を設定することで、より大きな成果が生まれる」と考え、自社に「ストレッチ目標」を導入しました。ストレッチ目標の導入により、社員が困難な目標を達成するための過程と成功体験を繰り返し経験したことで、GEは大きく成長しました。今では、多くの企業で個人や組織の育成方法としてストレッチ目標が活用されています。

ストレッチ目標を設定する際に押さえるべきポイント
ストレッチ目標を設定する際に押さえるべきポイント
(作成:日経クロステック)
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ストレッチ目標のメリットとデメリット

 人はチャレンジするレベルが高いほど、より多くの努力を重ねます。努力の内容に比例して成功したときの達成感は大きくなり、自信につながります。

 ストレッチ目標のメリットは、今以上の能力が必要な目標を設定することで、部下の能力を最大限に発揮させることができることです。新たな能力が見つかる可能性もあります。これまで考えもしなかった工夫や取り組みの過程を経験でき、精いっぱい努力することでマインドもスキルも大幅に向上します。社員1人ひとりが成功体験を積み重ねることで、組織全体が成長し、成果に結び付くようになるのです。

 一方、ストレッチ目標のデメリットは、目標設定の見極めが難しいことです。

 ストレッチ目標は、高すぎず、低すぎず、背伸びをしないと届かないレベルを設定することで効果を発揮します。目標設定が低すぎると簡単に達成できるため、現状維持のまま、中だるみや仕事のマンネリ化につながってしまいます。目標設定が高すぎると、何をすべきかが分からず諦めてしまい、モチベーションが下がってしまうことがあります。

 上司が大丈夫だと思っている目標であっても、部下が不可能だと感じて足がすくんでしまう目標であっては成功しません。パワハラ(パワーハラスメント)と誤解されてしまうことにもなりかねません。

 このような状況を防ぐためには、事前の目標設定において、上司がきちんと納得がいくまで説明をすることが重要です。進捗状況を見ながら、部下から相談を受ける場をつくることも大切です。

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