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 今回は、PDCAは知っているが回せていないと悩んでいるプロジェクトチームリーダー井上さん(仮名)からの相談です。

 私(井上)は、仕事の効率をもっと上げたいと考えています。でも、会議でアイデアが出されてもどうすればよいか分からず、そのままになっていることがあります。メンバーはとりあえず行動していますが、うまくいっていなくても反省もなく、やりっぱなしです。うまくいっていないのに、いつまでたっても思い切った改善が行なわれないのです。PDCAは、皆知っているはずなのに、なぜみんながPDCAをしっかりと回そうとしないのかと悩んでいます。

 ビジネスの世界で「PDCAサイクル」という言葉を知らない人はあまりいません。また、PDCAサイクルの重要性についても、異論のある人はほとんどいないはずです。

 PDCAは、仮説に基づいて計画(Plan)を立てて実行(Do)し、その結果を評価(Check)して、改善(Act)を加えていくことです。規模や職種に関係なく、このサイクルを早く確実に回すことで、大きな成果が期待できるセオリーです。

 でも、いざPDCAを回そうとすると、なかなかうまく回らないと嘆くビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。なぜ、PDCAサイクルがうまく回らないのでしょうか。

 1つの原因は、計画(Plan)を完璧に作ろうとして時間がかかってしまい、環境変化に対応できなくなってしまうパターンです。変化が激しい昨今のビジネス環境では、計画段階で慎重になり過ぎると、計画が完成したころには市場環境が大きく変わってしまい、完璧のはずの計画が役に立たなくなってしまった、ということになりかねません。

 もう1つは、計画(Plan)と実行(Do)は行うのですが、評価(Check)まで至らず、「やりっぱなし」というパターンです。どんなビジネスでも「やりっぱなし」では、その良しあしが分からず、得られる学びもないため、次のビジネスも「経験と勘」に頼ることになって「やりっぱなし」の悪循環に陥ります。

PDCAをうまく回すポイント
PDCAをうまく回すポイント
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PDCAサイクルは学習サイクル

 PDCAは米国の統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士が、統計的手法による品質管理の方法として提唱したものです。戦後復興を進めるために日本に招かれたデミング博士は、「品質の高い製品を作ることで、生産性とシェアを向上できる」と主張し、その技法と考え方を広めました。デミング博士は品質管理の手法だけではなく、絶え間なく学習することの重要性を指摘しました。

 PDCAは日本においてQCサークルとして花開き、「トヨタ生産方式」を生み出すなど、日本の製造業の発展に大きく貢献したのです。