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 今回は、部下が反省を次の行動に生かせないと悩んでいるプロジェクトリーダーの田中さん(仮名)からの相談です。

 私(田中)は、あるプロジェクトを任され、チームリーダーとしてチームを率いてきました。プロジェクトが終わって反省会をした際にチームのメンバーから出てきた話は、納期を守るために残業したこと、休日出勤で頑張ったこと、コミュニケーションの行き違いで仕事に遅れが出たこと、経営陣の横やりで右往左往したこと……。つらかったことを思い出に変えている様子で、チームのまとめ役の野村君(仮名)は「とりあえずは終わったんだから、嫌なことは忘れよう!」でした。これでは何の振り返りにもなっておらず、せっかく経験したことや反省したことが次に生かせません。どのように指導すれば、メンバーに理解してもらえるのでしょうか。

 仕事の振り返りとは、仕事の結果やプロセスの良否を明らかにして改善に向けた行動に移すことです。単なる「反省」ではなく、「振り返り」の時間を設けることで、チームやメンバーは経験値を得て、効率よく改善に向かうことができるのです。

KPTを使う

 チームや個人で振り返りをするとき、「KPT(けぷと)」を使えば、効果的に振り返りができ、改善につなげることができます。KPTは、本来システム開発の分野で使われていた振り返りのフレームワークで、次の3つの要素に分けて行動内容の分析を行います。

K(Keep):成果が出ているので継続すること
P(Problem):問題があり改善が必要なこと
T(Try):次に取り組むこと

KPTによる行動分析
KPTによる行動分析
(出所:日経クロステック)
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 KPTによる振り返りは、チームまたは個人で、Keep → Problem → Tryの順に、次のように今後のアクションを決めていきます。

[1]紙やホワイトボードの中心に縦線を、左側に横線を入れて3つの領域に分ける。こうして、左上を「Keep」、左下を「Problem」、そして右のスペースを「Try」とする。

[2]「Keep」の枠に「成果が出ていること」と「継続すること」を書き出す。参加者は、客観的な視点で分析することがポイント。

[3]「Problem」の枠に「うまくいかなかったこと」と「問題点」を書き出す。責任を追及する場ではないので、悪かった「事柄」を挙げる。

[4]「Try」の枠に「新たに実践すること」と「問題解決に取り込むこと」を書き出す。精神論ではなく、具体的にどういう行動をとるかを明確にする。

[5]「Try」の枠に書き出したアクションの具体的な実施計画を決める。「Try」で挙げたアクションを実行した結果、再度KPTで振り返る。

効果的に進めるポイント

 効果的なKPT実施のためには、3つのポイントに留意して進めましょう。

(1)定期的に短いサイクルで実施する

 KPTは、定期的にできるだけ短いサイクルで行なうのが効果的です。1日や1週間の終わり、

1つの仕事を終えたときやプロジェクト終了後、など、区切りのよいタイミングで実践すれば、振り返りやすくなります。

 1度のKPTで全ての問題が解決することはなく、さらに「Try」によって新たな課題が浮き彫りになることもあるため、定期的にKPTを実施して改善のサイクルを回していくことが大切です。

(2)進行役を配置する

 中立な立場の進行役(ファシリテーター)を置き、質問を投げ掛けたり、参加者が意見を出しやすい場を整えたりするようにします。

 参加人数が多い場合、意見が出にくくなってしまうことがあります。そんなときは、グループの単位を小さくして、5~6人程度で実施するのが良いでしょう。

(3)意見を全て書き出す

 KPTは何度も繰り返し行なうものであり、まず、全ての意見を書き出してみることに価値があります。慎重になりすぎずに思い切って書いてみて、違うと感じたら修正していけばよいのです。悲観的にならずに客観的にチームや自分自身を分析することが大切です。