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 今回は、部下に気持ちが伝わらないと悩んでいる山内課長(仮名)からの相談です。

私(山内課長):「昨日頼んだ資料、もうできている?」

島田(仮名):「すみません。まだできていません」

私:「どうして? やり方は説明してあるし、そんなに時間がかるわけないだろう! 君は仕事が遅いね」

 私は上司として部下を育てようと熱心になるあまり、つい大きな声を出して怒鳴ってしまうことがあります。部下を大事に思っているのですが、伝え方が下手なため、いつも上記のようなやり取りをしてしまうのです。何とか育ってほしいと思っているので、気持ちや仕事のやり方をうまく伝える方法を教えてください。

 人は恐怖で動かされることを嫌います。自分の主張を声高に叫んでも、相手は反感を持ってしまいます。恐怖は与え続けると慣れてしまい、さらに強い恐怖が必要になります。

 自分の要求や要望を相手に伝えたいときには、相手に圧迫感を与えることなく、気持ちを伝えるコミュニケーションが必要です。

IメッセージとYouメッセージ
IメッセージとYouメッセージ
(作成:日経クロステック)
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IメッセージとYouメッセージ

 自分の要求や要望を相手に伝える方法には、「I(アイ)メッセージ」と「You(ユー)メッセージ」の2つがあります。Iメッセージは、話し手である「私」を主語とした伝え方です。Youメッセージは、受け手である「あなた」が主語となる伝え方です。

 Iメッセージは、話し手の気持ちがダイレクトに受け手に伝わるのが特徴です。

「(私は)助かったよ」

「(私は)期待しているよ」

「(私は)うれしいな」

 相手の行動により「私」がどう感じたのかを述べています。あくまでも自分の気持ちや感情を述べているので、相手を責めることもありません。

 Youメッセージは、受け手が命令や評価をされたように感じることがあります。

「(あなたは)仕事が遅いね」

「(あなたは)もっとできるはず」

「(あなたは)よくやった」

 上司から「よくやった」と言われたとき、部下は、「自分を分かってくれている」と感じる場合もありますし、「全然分かってくれてないな」と思うときもあるでしょう。

 Youメッセージは、上司が伝えたいことと部下の認識が違っていたとき、部下の反発や抵抗につながる可能性があります。Iメッセージであれば、「自分の感じたこと」を伝えるのですから、相手としても否定のしようがありません。

 Iメッセージは、自分の気持ちを伝えることで、相手を尊重した伝え方ができますが、少し回りくどい印象になるかもしれません。Youメッセージは、ストレートに指示・命令ができる半面、状況によっては、互いの人間関係が悪くなる可能性もあります。

 どちらもメリットとデメリットがあるため、状況に応じて使い分けましょう。