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 今回は、自発的な業務改善が進まないと悩んでいる浅田課長(仮名)からの相談です。

 「毎月5つの業務改善案を出すように」と私は部下に指示しています。会社の方針に基づき、自部署でも積極的に業務改善に取り組もうと考えたからです。ところが、部下の反応はいまひとつ。「別に今のままでよくありませんか」「そんな時間ないんですけど」「具体的にどうすればいいのか言ってください」……。部下たちのあまりの無関心さと問題意識の低さに頭を抱えています。私はどのように指導していけばよいでしょうか。

 業務改善とは、「業務の目的やフロー全体の見直しを行うことで、経営の達成プロセスを最適化させる」ことを指します。正しい業務改善を進めるためには、正しい方法とその進め方を知ることが大切です。場当たり的な業務改善によって逆に業務が悪化してしまったり、「改善できた」と思っていても実際は何も変わっていなかったりすることも少なくありません。

何を改善したいのか

 業務改善は、「ひと」「もの」「設備」「作業方法」「情報」の全てに着目します。

  • ひと:スキル、能力、考え方、価値観、熱意、既成概念など。
  • もの:業務用の資材、業務ツールなど。
  • 設備:社内設備、仕組み、業務体制など。
  • 作業方法:作業のワークフロー、ルール、承認手順など。
  • 情報:パソコン内のデータ、顧客情報、記録表など。

 業務が改善されたかどうかは、「品質の向上」と「コストの削減」「時間の効率化」で判断することになります。

 品質を落とせばコストや納期を下げられますが、顧客満足の観点ではマイナスです。所要時間を短縮できれば業務改善が成功したことになります。業務改善をするときには最も効果が分かりやすい要素といえます。

 業務改善の理想は、「品質を維持しつつ、コストを下げて、時間を短縮する」ということになります。

業務改善の5つのステップ
業務改善の5つのステップ
(出所:日経クロステック)
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業務改善の5つのステップ

 適切な業務改善を進めるための5つのステップをご紹介します。各ステップでやるべきことを確実に行うことで、最大限の成果が期待できます。

[1]業務を洗い出す
 日々の仕事の中で行う業務をリストアップして「見える化」しましょう。業務のリストアップや棚卸しには「業務一覧表」を作成するのが有効です。業務を整理せずに業務改善に取り組んでも、確実な改善を行うことはできません。日常業務だけではなく、非日常的な業務についてもしっかりと洗い出します。

 抽出した業務のフローを確認したら、「業務フロー表」を作成します。いつも現場で無意識に行っている業務でも、プロセスをフローとして落し込むことで、問題点に気づくことがあります。

[2]現状を分析する

 作成した業務フロー表を基に、問題点を洗い出します。問題点を洗い出すときのポイントは3つです。

(1)なくす
 必要だと思っていた業務の中に、不要な業務が隠れていることがあります。例えば、前任者から引き継いだ誰も目的を説明できない業務や、どこで使われているのか分からないデータの入力作業、確認もフィードバックもされない形式的な日報作成など、日常業務の中で、なくせるものはないかを考えてみましょう。

(2)減らす
 やめることはできなくても、処理する回数や頻度を減らせるものはあります。例えば、毎日行っている処理を週単位の処理に変更する、データの入力を都度行うのではなく月末に一括処理する、業務上の不明点があった場合の確認手順を整理しておくなど、小さな時間短縮を積み重ねることで、確実にコスト削減につながります。

(3)変える
 業務を変えることで、改善につながることはないか探してみましょう。例えば、業務の手順を変更する、担当者を変える、新しいIT機器を活用するなど、各業務の何かを変えることで時間短縮につながるかどうかを検討します。