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 今回は、部下がプレゼンテーション(以下、プレゼン)を嫌がると悩んでいる村田課長(仮名)からの相談です。

 私の部下の石田さん(仮名)は、入社3年目ですが、日々の仕事はしっかりこなしています。私は石田さんにさらに成長してほしいと期待しています。

私(村田課長):「石田さん、来月のP社に向けた新商品のプレゼン、あなたにお願いしたいんだけど」

石田さん:「えっ、私ですか。勘弁してください」

私:「どうして?」

石田さん:「たくさんの人の前で話すのは苦手なんです。大勢の人の前に出ると、緊張してしまって、頭の中が真っ白になってしまうんです」

 無理強いするわけにもいかず、別の部下に頼みましたが、私は石田さんにもぜひプレゼンができるようになってほしいと思っています。ですが、石田さんは全く聞く耳を持ってくれません。どのように指導すれば、石田さんが自信を持ってプレゼンできるようになるでしょうか。

 ビジネスシーンにおいて、プレゼンはさまざまな場面で行われています。顧客への営業活動や社内での企画提案、職場の朝礼でのスピーチなど、皆さんも無縁ではいられないはずです。

 でも、いざプレゼンをするとなると、「拙いプレゼンをして恥ずかしい思いをしたくない」「失敗しないためには準備がとても大変」と、憂鬱になってしまう人も多いのではないでしょうか。

プレゼンテーションの5要素
プレゼンテーションの5要素
(出所:日経クロステック)
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プレゼンの目的

 プレゼンの目的は、聞き手に行動を起こさせることです。聞き手の立場に立ちながら要望を認識し、その中の問題点や悩みを探り出して、聞き手が知りたい情報や解決策を伝える。そうすることで聞き手に具体的な行動を促すのです。

 話し手が伝えたいことを主張するだけでは、プレゼンとはいえません。プレゼンの成否は全て、受け手が決めることです。行動の主体は話し手ですが、決定の主体は聞き手なのです。

 人に行動を起こさせるためには、3つの条件があります。

[1]共感:「その通りだ」と同じような思いを持つ

[2]納得:腑(ふ)に落ちて「これはいいな」と思う

[3]気づき:「そういう見方もあるか」と新たな視点に気づく

 これらの条件をいかに引き出せるかが、プレゼン成功の鍵となります。

プレゼンで大切な5つの要素

 プレゼンでは大切な5つの要素があります。

[1]目的は何か

 プレゼンの目的は何か、ゴールは何かを明確にします。プレゼンが終了したときに、聞き手にどういう状態になってほしいかを具体的にイメージしましょう。

 聞き手に知ってほしいことや共感してほしいことは何か、気づいてほしいことは何か、聞き手に取ってほしい行動は何か、など、どのような状態になれば、プレゼンが成功したといえるのかを明確にします。

[2]聞き手は誰か

 メッセージを届ける聞き手はどんな人なのかを知ることで、準備したプレゼンを有効に機能させることができます。

 聞き手の情報を知れば知るほど、プレゼンターは有利になります。何人なのか、誰が参加するのか、キーパーソンは誰か、どれだけの情報を持っているのか、好意的か敵対的か、などを知ることです。

 また、聞き手の関心はどこにあるのかを想定しておくも大切です。聞き手の悩みや課題は何か、聞き手がプレゼンに求めていることは何か、聞き手はどんな気づきを得たいのか──。聞き手を知ることによって入念な準備ができ、自信を持って臨むことができます。

[3]どのような構成にするか

 セールスや商品説明会、セミナー、会議など、プレゼンにはさまざまな種類がありますが、どのようなプレゼンでも、3つの構成がベースとなります。

(1)イントロダクション

 話し手と聞き手との間に信頼関係を築き、聞き手にこれから始めるプレゼン内容に関心を持ってもらうステップです。聞き手が初対面であれば、簡単に自己紹介をしながら、聞き手も経験のありそうな話題を選んで共感してもらいます。

(2)ボディー

 プレゼンの全体構成を考えます。構成テンプレートとして代表的なものに「PREP(プレップ)」と「SDS(エスディーエス)」があります。

PREP

  • Point:結論、ポイントを述べる
  • Reason:理由を伝える
  • Example:事例、具体例を伝える
  • Point:結論、ポイントを伝える

SDS

  • Summary:全体の概要を伝える
  • Detail:詳細の詳細を伝える
  • Summary:全体のまとめをする

(3)クロージング

 話し手が伝えてきた結論や主張、メッセージをもう一度伝えます。聞き手に提案して、質疑応答につなげます。質疑応答が必要な場合には、質問の内容を要約し、確認する質問に対して感謝を伝えたり、質問者が使った言葉をそのまま引用したりして答えることなどに留意します。話し手の誠実さが伝われば、プレゼンの評価も高まります。