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 私は、部下の沢田さん(入社3年目)には能力があるので、もっと自分で考えて行動し、結果を出してほしいと思っています。

私(岡本課長):「違うじゃないか。そんなやり方じゃ、いつまでたってもできないぞ!」

沢田さん:「私なりには頑張っているのですが……」

私:「担当として、もっと責任感を持ってやってくれ。後は頼んだぞ!」

沢田さん:「……」

 私は、沢田さんが自らもう少し高い目的意識を持って行動すれば、必ず成果が出せると思っています。でも自分の力に気付かないばかりに、うまくいかないのです。部下が自分の力を信じて頑張れるようになるためには、どのように伝えればよいのでしょうか。

 リーダーが方針とノルマは示すけれども、具体策は示さない。支援することもなく、「自分で考えろ」と投げている──。このような状況では成果は出ませんし、リーダーとメンバーとの間に信頼関係も築けません。

 ビジネスにおけるコミュニケーションの目的の1つは、自分がしてほしいと思う行動を相手に起こさせることです。

 リーダーとしては、メンバーが自ら考え、より高い目標を目指して、力を発揮して成果を出してもらう必要があります。それを可能にするスキルがあります。「リクエスト」です。

リクエストとは

 メンバーの行動に対する意識を高め、自発的な行動を促すためには、リクエストのスキルを使うことが効果的です。

 目標を設定して具体的な行動が決まれば、リーダーはメンバーを励まし、背中を押してあげるように行動を促していきます。そのときに有効なのが、このリクエストです。

 指示・命令は、命令した者の意向が主体で、拒絶する自由はありません。仕事を遂行することが目的となります。リクエストは相手の意向が主体であり、リクエストを受けた相手は、受け入れるか、断るかを選択する自由があります。リクエストした通りにならなくても、相手が行動を起こす材料になります。

 リクエストは、物事をはっきりさせて行動に結び付けるために効果的なコミュニケーションの1つなのです。行動を促す言葉を相手に伝えなければ何も始まりません。

リクエストで押さえるべき5つのポイント
リクエストで押さえるべき5つのポイント
(出所:日経クロステック)
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リクエストが有効な場面

 リクエストが機能するためには、互いの信頼関係がベースになければなりません。「こんなことを言ったら拒絶されるのではないか」という気持ちがあると、的確にリクエストすることはできません。良い関係性なしには、リクエストは決して機能しません。

 リクエストが有効なのは、メンバーが次のような状況にあるときです。

[1]新たな行動を始めようとしている

 現状に甘んじることなく、さらにチャレンジすることで成長の機会が見込めるときです。メンバーには見えていない側面や可能性、チャンスを伝えます。

[2]行動をためらっている

 リクエストは、相手が行動を迷っている場合に有効です。「自分の力でやってみたいが、どこから手を付けたらよいか分からない」「やらなければならないと分かっているけど、いま一つ自信がない」といったとき、ポンと背中を押すようにリクエストします。メンバーは迷いを払拭し、行動への決心をつけることができます。

[3]不安や恐れを感じている

 ゴール達成や問題解決に向けて、緊急性や大きな変革が要求される場合です。こんなとき、メンバーは「現在の発揮能力」と「自分自身の可能性」とのギャップに気づいていません。そのギャップをしっかり伝えた上で、リクエストするとよいでしょう。