全2378文字
PR

 今回は、部下に指示が伝わらないと悩んでいる土井マネジャー(仮名)からの相談です。

 私は今年、初めて部下を持つことになりました。部下である入社2年目の原田さん(仮名)への指示がうまく伝わらなくて悩んでいます。

私(土井マネジャー):「例の資料、できてる?」

原田さん:「申し訳ありません。まだです」

私:「午後の会議に使うから、午前中にやっておいてと言ったじゃないか」

原田さん:「あれもこれもと、やることがいっぱいあって……」

私:「急ぎだと分かっているのに、どうしてちゃんとできないの?」

原田さん:「……」

 私は、原田さんの仕事ぶりを見ていると、「なぜ指示したことが分からないのか」といつもイライラしてしまいます。

 メンバーの仕事を見ていて、「ちゃんと指示を出しているのに行動できていない」「分かりましたと言っておきながら、全然分かっていない」という悩みを抱えるリーダーは多いのではないでしょうか。

 こんなとき、自分の指示の出し方や説明の仕方に問題があるとは考えずに、メンバー側に問題があると考えがちです。メンバーがリーダーの指示通りに動いてくれないのは、説明するリーダー側にも原因があります。リーダーが指示する場合に大切なのは、メンバーに「伝える」のではなく、「伝わる」ことです。リーダーの言葉がメンバーにどう伝わって、どのように理解してくれたのかが重要です。

 では、どのような指示の出し方をすれば、メンバーがきちんと理解をし、リーダーが期待する行動につなげることができるのでしょうか。

指示を伝える際のポイント
指示を伝える際のポイント
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

上手な指示を出すための5つのこつ

 リーダーがメンバーに指示を伝えるときに重要な5つのポイントを伝えます。

[1]指示を書き出して優先順位を付ける

 一度に伝える指示は基本的に1つ、多くても3つまでに絞りましょう。リーダーが思い付くままにどんどん指示を出してしまうと、メンバーは混乱して急ぎの仕事が後回しにされることになりかねません。メンバーは言われた順番にこなすか、勝手な判断で順位付けしてしまいます。

 指示する内容が多い場合は、伝えたいことを紙に書き出して優先順位を整理しておきましょう。指示する側が混乱していたり、曖昧だったりすると、受け取る方はさらに混乱します。

 思い付くまま伝えることで時間を節約したつもりでも、かえって仕事が遅くなってしまいます。既に指示している仕事の状況も踏まえて、優先順位を付けて指示しましょう。

[2]簡潔にまとめて正確に伝える

 指示は短く、正確に伝えるように工夫しましょう。「5W2H」で伝えたいことを整理することはとても有効です。この5W2Hの視点を持って指示をすることで指示内容が明確になり、やるべきことをイメージしやすくなります。

5W2Hの構成要素

5W:When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰と)、Why(なぜ)、Why(何を)

2H:How(どうやって)、How much(どのくらい)

[3]仕事の目的や必要性を伝える

 指示の内容だけを伝えればそれでよし、というわけではありません。リーダーとメンバーとの間で、「目的と必要性」を共有することが大切です。

 指示を出す側は、なぜこの仕事が今必要なのか、その結果がどのように組織の成果に反映されるのかを理解しているはずです。指示を出された方は、少ない情報の中で、同じ理解ができていない場合もあります。「言った通りにすればいいんだ」といった指示の出し方をしていては、メンバーは自分で考えることをやめてしまい、成長できなくなります。

 メンバーには、しっかりと目的と必要性を説明しましょう。自らが取り組む仕事の意味を理解させ、使命感とやりがいを与えることで、よりスムーズに行動を引き出すことができます。