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 今回は、部下が本音を言わなくなったと悩んでいる高橋課長(仮名)からの相談です。

 高橋課長は、課の重要プロジェクトを中村さん(仮名)に一任し、何とか目標を達成できるようにメンバーの行動を気に掛けていました。

高橋課長:「中村さん、順調に進んでる?」

中村さん:「はい、大丈夫です」

高橋課長:「困ったことがあったら、何でも言ってね」

中村さん:「いえ、大丈夫です」

 結局、中村さんの担当したプロジェクトはうまく進まず、途中で大幅に修正することになってしまいました。もっと早く言ってくれれば、アドバイスもできたし、他のメンバーがサポートできたはずなのにと思うと、本当に残念です。本音を言わない部下をどのように指導すれば、本音を言ってくれるようになるでしょうか。

 中村さんは「できない部下」と思われたくないので、困っていることがあっても、もう少し自分で頑張りたいという気持ちだったのではないでしょうか。こうしたボタンのかけ違いは職場でしばしば起きていると思います。

 ある会議に参加しているメンバーが良いアイデアを思い付き、その場で自分のアイデアについて発言したとき、リーダーから「そんな考え方しかできないのか」といった言葉を浴びせられたりしたら、次に同じ場面になったときには発言をためらうようになるでしょう。

 このような環境は、本人だけではなく、会議の参加者全員に影響を及ぼします。発言者が叱責される様子を見て、皆が不安に駆られて建設的な意見を出せなくなります。個人の考えや行動は、周囲の環境に大きく影響されるのです。

心理的安全性とは

 心理的安全性という考えがあります。チームにおいてメンバーが上下関係にとらわれずに自由に発言できる環境や雰囲気になっているかどうかを示すものです。チームのメンバー1人ひとりが恐怖や不安を感じることなく安心感を持って発言・行動できる状態であれば、互いに刺激し合い、学びの機会が増えて、チームの成果が上がりやすくなります。

 心理的安全性は、米Google(グーグル)が「生産性の高いチームづくりには、心理的安全性が最も重要な要素である」と発表して以来、注目されるようになりました。同社の生産性向上プロジェクト「アリストテレス」の研究結果です。

心理的安全性を確保する4つの方法
心理的安全性を確保する4つの方法
(出所:日経クロステック)
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