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 足立チームリーダー(仮名)は、職場の整理、整頓がなかなか進まず困っています。

 チームの仕事の質を高めるために、私は職場の整理、整頓を習慣化するようにメンバーに指示しています。ところが、メンバーから「自分はできています」「今のままで十分ですよね?」「わざわざ面倒ですよ」などと不満や反発を受け、なかなか思い通りにいきません。どのように進めていけばよいでしょうか。

 仕事の最中に必要な資料がどこにあるか分からなくなり、「この前見たはずなのにどこへやったかな」と探し回り、結局は見つからずに途方に暮れたという経験はないでしょうか。

 多くの人が、ものを探すことを仕事の一部だと思い込んでいます。そのため、探すことをムダだと感じている人は意外に少ないようです。しかし、1人で探しきれずに周囲を巻き込むと、「尋ねるムダ」だけではなく、「尋ねられるムダ」も発生してしまいます。

 仕事の中に占める「ものを探す」時間は意外に長いものです。ビジネスパーソンが仕事中に「探しもの」をするために、年間150時間も費やしているという調査もあります。1日の勤務時間を8時間とすると、年間でおよそ19日分もの時間を探しものに費やしている計算になります。

 こうした探す時間を削減することはもちろん、あらゆるムダを排除する活動が「5S活動」です。

5S活動とは

 5S活動とは、製造業やサービス業などで行われている、職場の環境を良い方向に改善したり、良い状態を維持したりしていくための活動です。

 もともとは製造業の現場で品質改善活動の一環として生まれました。現在では、さまざまな業種において職場の環境改善や仕事の効率を上げるための手段として取り入れられています。

 5Sとは、次の5つの項目の頭文字を取ったものです。

  • 整理(Seiri):必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てる
  • 整頓(Seiton):必要なものがすぐに取り出せる状態にしておく
  • 清掃(Seisou):掃除をしてごみや汚れのないきれいな状態にしておく
  • 清潔(Seiketsu):整理・整頓・清掃を実施して汚れのない状態を維持する
  • 躾(しつけ)(Shitsuke):決められたルールや手順を守ることを習慣づける

 5S活動の主な目的は、職場環境を整備することによって以下の効果を得ることです。

[1]業務効率の向上

 不要なものが多く、整理、整頓のルールが徹底されていない職場では、必要なものがすぐに見つからず、業務のスムーズな進行が妨げられてしまいます。業務で使用するものが分かりやすく使いやすい所定の位置に配置されていれば、ものを探すために業務が中断されることがなく、業務効率が向上します。

[2]快適な職場環境の実現

 整理、整頓されて清掃が行き届いた職場では、社員はストレスが少なく快適です。仕事に集中できる快適な環境においては、社員のモチベーションも高まり、離職率の低下にも効果が期待できます。

[3]安全の確保

 職場がきちんと整備されていなければ、業務効率が下がるだけではなく、思わぬ事故が起こる危険性があります。製造業や建設業で、特に5S活動を重点的に実施するのは、職場の安全性を確保して労働災害を防ぐという大きな目的もあります。

整理と整頓を進める5ステップ
整理と整頓を進める5ステップ
(作成:日経クロステック)
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