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 清水さん(仮名)は、商品企画部のチームリーダーを任されています。

 私のチームには、今年からメンバーが5人増えて現在10人います。私が各メンバーに対して指示を出し、承認して業務を進める流れなのですが、メンバーの人数が増えて全ての業務の面倒を見切れない状況になってきました。リーダーとしては目の前の業務だけではなく、中期的な取り組みにも着手していかなければなりません。チームとしての対応スピードを上げなければならないので、効率的なマネジメントをしようと思っています。しかし、時間がなくて思ったようにはできません。私は今後、どのように進めていけばよいでしょうか。

 チームの状況や仕事の内容によって異なりますが、ある一定の人数を超えると、管理者の負荷が一気に上がります。これまで5人の部下を直接、管理・指導している管理者の部下の人数が、急に倍になったらどうなるでしょうか。

 全員の進捗状況を把握するだけでも時間がかかり、これまでと同じ管理をしようとしても難しくなってしまいます。1人の管理者が部下の業務状況を把握して評価したり、指導や育成したりする場合、その適正人数には限界があるといわれています。

スパン・オブ・コントロールの克服法
スパン・オブ・コントロールの克服法
(作成:日経クロステック)
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スパン・オブ・コントロールの原則とは

 スパン・オブ・コントロール(Span of Control)とは、「コントロールできる範囲」という意味で、1人の管理者が直接管理できる部下の人数や業務領域のことをいいます。

 1人の管理者が管理できる人数は、個人差はあるものの、一般に5~8人といわれています。工場の製造部門や営業チームのように、メンバー間で行う業務が類似していたり、マニュアル化しやすかったりする業務は、スパン・オブ・コントロールが大きくなります。一方で、スタッフ部門などで案件ごとに作業内容が異なっていたり、メンバーの業務の内容が専門性などで異なっていたりする場合には、リーダーの負担がより大きくなり、スパン・オブ・コントロールが小さくなります。

 適切なスパン・オブ・コントロールの範囲内で上司が部下を管理することで、業務の効率化や組織全体でのパフォーマンスの向上を期待できます。

 スパン・オブ・コントロールを超えてしまうと、上司とコミュニケーションがよく取れている部下と、ほとんど取れていない部下とが混在する状態になりがちです。そのような状況になると、情報に偏りが発生したり、ケアが行き届かずに特定の部下が孤立したりすることになり、組織の雰囲気に悪影響を及ぼします。部下の指導や能力開発にもばらつきが出ることになり、組織として成果を出すことが難しくなってしまいます。