全2662文字

 新型コロナウイルス禍以降、我が社でもリモートワークを導入しました。以前より部下と直接対面する機会が大幅に減ってきています。リモートワークの時には、部下の仕事ぶりがよく見えないので、仕事をサボっているのではないか、必要な「報連相」ができていないのではないか、緊張感をもって業務に臨んでいないのではないかなどと、どうしても疑心暗鬼になってしまいます。こうした状況の中で、どのようにコミュニケーションを取っていけばよいのでしょうか。

 新型コロナ禍により、リモートワークやWeb会議などオンラインでの働き方が定着しつつあります。これを機に、新しい働き方に転換している会社も増えてきています。皆が同じ職場に出社し、机を並べて仕事をしていれば、仕事の課題や悩みについて上司や先輩に質問や相談をすることはそれほどハードルが高いことではありません。

 ところが、リモートワークになるとオンライン会議やチャットで会話するので、どうしても用件のみを簡潔に伝えることになりがちです。悩みや問題を気軽に相談できないのでストレスを抱えてしまい、それが続くと、仕事に対する意欲低下にもつながりかねません。部下からSOSを出さなければ、上司が部下の状況に気付けずに放置してしまうケースもあります。

 リアルでも難しかった上司と部下のコミュニケーションやマネジメントが、画面越しで行うことで、さらに難しくなったと悩む管理者も多いのではないでしょうか。そこで、部下の成長やコミュニケーションを考える上で有効な「フィードバック」について、リモートワーク時での効果的な活用を考えてみましょう。

オンラインにおけるフィードバックのコツ
オンラインにおけるフィードバックのコツ
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

フィードバックの意味とメリット

 フィードバックとは、本来電子工学などの分野において、出力結果を入力側に戻して出力を制御することを指します。ビジネスシーンでは、「行動に対する結果を伝えること」を意味しています。例えば、上司が部下に任せた仕事に対し、アドバイスや改善点、勤務態度、気になる点を上司が部下に伝えることです。

 フィードバックには、次のようなメリットがあります。

[1]目標達成に向けた軌道修正ができる

 フィードバックすることにより、目標に到達するためのステップを見直すことができます。結果と目標を比較することによって不十分な点が分かり、目標を達成するために有効な方策を検討できます。目標達成に向けて部下のモチベーションを保つためにフィードバックは有効です。

[2]高いパフォーマンスを発揮させる

 フィードバックは、客観的な事実を提示して部下に改善を求めるように伝えます。フィードバックを通じて部下が内省する習慣と自己解決力を身に付けることで、自ら問題に気づいて改善案や解決方法などを考えることが期待できます。その結果、人材育成につながり、組織力を向上させる一助となります。

[3]モチベーションを高める

 ポジティブなフィードバックは、モチベーションにプラスの働き掛けができます。「自分にはどうせ無理だ」といったネガティブな感情に対し、フィードバックによって「自分ならできる」というポジティブな思考へと転換できます。やる気を最大限に引き出せることがフィードバックの大きなメリットです。