今年から商品企画グループのチームリーダーを任されている片岡さん(仮名)からの相談です。
毎週月曜日に商品企画会議でアイデアを議論しています。「どんなデザインなら売れるか」「どのような機能があればよいか」「どうやったら集客できるのか」などと、議論自体は白熱します。ところが、結果的に「どうしてよいか分からない」となり、うまく意見がまとまらないことが多いのです。思わぬ方向へ話がそれてしまったり雑談になってしまったりして、集中力が続かないことも珍しくはありません。効率的に議論を進めて行動に移すためにはどうすればよいでしょうか。
アイデアを考えたりテーマを議論したりするときに、「議論があちこちにいってしまう」「収拾がつかなくなってしまった」「そもそも現状を把握できていないのではないか」といった悩みをよく聞きます。このような曖昧な状態で実行しても、無駄にリソースを使ってしまうだけではなく、期待する成果を得ることは難しくなってしまいます。
チームやメンバーが目標を達成して効率的に成果を出したいときには、フレームワーク(framework)をうまく活用することで、成果を出しやすくなります。
ビジネスフレームワークとは
フレームワークとは「枠組み」「構造」といった意味で、概念や法則などを活用して、問題解決や意思決定を効率化するためのツールです。
ビジネスシーンで使用するフレームワークは、ビジネスでこれまで有用性を認められてきた考え方を、さまざまなケースに用いることができるように体系化された思考の枠組みです。
フレームワークは、情報や考え・状況を分かりやすく図式化したものであり、それらに沿って考えることで、分析や思考を効率的に進めることができる共通言語といえます。どの範囲で何を考えるかという枠組みが決まるため、その枠以外のことを考えなくてよいので、無駄がありません。これまでさまざまなビジネスを行ってきた人や、経営学者が築き上げた先人の知恵であり、ビジネスがうまくいくための捉え方や視点といったエッセンスが凝縮されています。
例えば、料理が苦手な人が全くレシピを見ないで作った場合と、レシピを見ながら作った場合を比べると、後者のほうがうまくいく可能性は高いはずです。ビジネスの世界で昔から広く使われているフレームワークは、経営学者やコンサルタントが試行錯誤しながら磨き上げられた定番のレシピといえます。
フレームワークを使うメリット
ビジネスフレームワークを習得すると、次のようなメリットがあります。
[1]要点を絞って思考するため、より早くアウトプットにたどり着くことができる
[2]複雑なテーマに取り組むとき、考えるべき要素の抜けや漏れを防ぐことができる
[3]相手に要点を整理して視覚的に伝えることで、より早く深く理解してもらえる
ビジネスフレームワークを使う最大のメリットは、思考のスピードが上がることです。構造を理解すれば思考のスピードが何倍も上がります。3時間かかる作業を1時間でできれば、他の作業に時間を割くことができます。ビジネスシーンにおいては、思考の効率化が大きなアドバンテージとなります。
ただし、注意すべきことは、ビジネスフレームワークを使う目的を常に意識して作業をしないと、思考が画一的になってしまう可能性があるということです。フレームワークを完成させることはあくまでも手段であり、本来の仕事の目的はビジネスフレームワークが完成した先にあるのです。