全2224文字

 商品企画チームのリーダー小泉さん(仮名)からの相談です。

 入社2年目の佐藤さん(仮名)は、プレゼンテーション(以下、プレゼン)用の資料作りがあまり得意ではありません。先日、企画会議のプレゼンに向けて佐藤さんから中間報告を受けました。それに対し、「このグラフはどんな意味があるのか」「データがたくさん並んでいるけれど、全部必要だろうか」「結局、結論は何?」と、思わず質問攻めにしてしまいました。彼なりのシナリオはあるようなのですが、聞き手に伝わるような話ができていません。本人も「やっぱり、自分は資料作りが下手だ」と、とても落ち込んでいます。私は佐藤さんにどのようなアドバイスをすればよいでしょうか。

 ビジネスパーソンとしてプレゼン資料作成は避けては通れない業務です。しかし、「伝えたい内容が多すぎて、いつも考えがまとまらない」「一番伝えたいことが、聞き手に理解されていなかった」「聞き手がプレゼンに集中してくれない」など、苦手意識を持っている人が少なくないようです。

 皆さんは、きちんとシナリオを作ってから資料を作りに着手していますか。資料作成が苦手な人の特徴は、伝えるべき情報の優先順位を整理できていないことです。情報の優先順位が整理できていないと、聞き手は示された資料をベースに優先的に考えるべきこととそうではないことを整理しながら聞かなければなりません。その結果、聞き手は次々に質問したくなってしまうのです。

 社内外で人を動かして業務を推進したい場合に、問題意識がうまく伝わらないことがあります。そんなとき、聴き手に目的意識や問題意識を明確に持たせて、話し手の提案を採用してもらいやすくするためのフレームワークが「TAPS(タプス)法」です。

TAPS法の4つのステップ
TAPS法の4つのステップ
時間を1/10に短縮できたという。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

TAPS法とは

 TAPS法は、相手に理想と現状のギャップを伝えて目的意識や問題意識を持たせ、理想に近づくための解決策を提示することで行動を促すフレームワークです。次の4つのステップで構成されます。

  • [1]To Be:理想
  • [2]As is:現状
  • [3]Problem:問題
  • [4]Solution:提案

 問題は何かを明確にして共有することにより、聞き手に「自分ごと」として話を聞いてもらいやすくなるメリットがあります。

 プレゼンテーションのベースになるのは「問題解決」です。聞き手の悩みやうまくいかない原因などの問題に対し、どのようにすれば解決するかを伝えるシナリオのベースになるのかTAPS法です。