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 調達部の夏目課長(仮名)からの相談です。

 部下の安西さん(仮名)は、入社5年目です。担当業務については安心して任せられるようになったのですが、言われた仕事以外はやろうとしません。年齢的にも他のメンバーを引っ張ってほしいのに、後輩が仕事で困っていても自ら積極的に関わろうとしないのです。後輩たちからも、少し頼りない先輩と見られ始めており、これからが心配です。先日の面談の時、私が安西さんに「そろそろ上のポジションを意識したらどう?」と問い掛けると、「管理職は大変なだけで何の魅力も感じません。このままでは駄目でしょうか」との返答。安西さんには、将来、管理職となり、さらに成長してほしいと思っています。私は安西さんにどのように対処すればよいでしょうか。

 管理職を目指したくないという社員は、最近では珍しくありません。ジェネラリストとして組織をマネジメントする立場よりも、スペシャリストとして個人の専門性を極めたいという社員が増えています。

 米マンパワーグループが2020年3月に実施した調査によると、役職に就いていない20~50歳代の正社員の8割超が「管理職になりたくない」と回答しています。管理職になりたくない理由の上位は次のようになっています。

  • 責任の重い仕事をしたくない(51%)
  • 報酬面でのメリットが少ない(40%)
  • 業務負荷が高い(40%)
  • 面倒な調整業務が増えそうに思う(28%)
  • 部下育成に興味がない(21%)

 価値観やライフスタイルの多様化やキャリアに対する意識の変化により、かつてはゴールの1つだった管理職は、もはや共通の目標ではなくなったと言えます。

 ただ、本当に「管理職になりたくないかどうか」については本音は分からないものです。「管理職になりたくない」と言ってはいるものの、本当はなりたいけれども、簡単にはなれそうもないので、とりあえず「なりたくない」と予防線を張っている場合も少なくありません。

 管理職は経営の考えを現場に伝え、現場の動きを経営に伝える基軸の役割です。企業の発展の命運を握る存在と言っても過言ではありません。企業の発展の要である管理職候補をしっかりと育てていく必要があります。

部下を管理職になりたいと動機付けるコツ
部下を管理職になりたいと動機付けるコツ
(出所:日経クロステック)
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管理職になるメリット

 管理職になることで得られるメリットを3つ紹介します。

[1]マネジメント能力を身に付けることができる

 管理職になることで、部下の育成や人事評価、労務管理など新たな業務に挑戦できます。プレーヤーでは習得できないマネジメントスキルも高めることができます。管理職として仕事をすることでリーダーシップやコミュニケーションスキルが身に付き、部下を動かしてチームの成果を出すことで、自身の成長を感じることができます。

[2]新たなやりがいを得られる

 管理職になることで新たなやりがいを得ることも可能となります。例えば、「自分が育てた部下が大きな成果を出して社内で表彰された」「経営会議に参画することで、経営の醍醐味も味わえるようになった」「自分の判断や権限で決められる範囲が広くなった」など、管理職になることで仕事がマンネリ化しなくなり、やりがいが生まれます。

[3]キャリアアップができる

 今後、事業の責任者や経営層へとキャリアアップできるチャンスも生まれるので、さらに年収アップも狙うことができます。管理職として実績を残せば、転職するときも管理職として迎えてもらいやすくなります。管理職経験のある人材はヘッドハンティングでも選ばれやすくなるため、キャリア選択が有利になる可能性が高くなるでしょう。