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 販売促進部の山田課長(仮名)からの相談です。

 年上の部下である浅村(仮名)さんは経験豊富なベテラン社員です。仕事の調整から自分自身も手を動かすところまでこなし、場合によっては周りの人にも指示を出してくれる頼れる存在です。うまく力を発揮してくれるときは本当に助かります。しかし、うまくかみ合わないときは、やっかいな存在になることもあります。

 先日も浅村さんが自身の判断で勝手にメンバーに指示を出してしまい、その指示が私の考えと違っていて困りました。私の出した指示と違うと分かっていても、異なる指示をあえて出すこともあります。そのため、組織に2人のマネジャーがいる状態になってしまい、現場のメンバーはどちらの指示に従えばよいのか困ってしまいます。私は浅村さんにどのように接していけばよいでしょうか。

 年上の部下を持つ皆さんは部下との関係は良好でしょうか。それとも、苦手意識があるでしょうか。指摘した改善点を、なかなか受け入れてもらえない、自分でできるというプライドがあって報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)をしない、依頼した仕事がなかなか返ってこない──。年上の部下を指導することは、どうしても難しいと感じてしまうものです。

 年功序列制度を見直し、成果主義や実力主義の評価制度に移行した企業が当たり前になっています。能力のある若いリーダーが指揮を執ることも増えてきています。実力で評価されると、若い人は仕事にやりがいを感じることができます。一方で、年功序列の意識が色濃い職場環境であれば、人間関係の苦労も生まれます。若手リーダーにとって、年上の部下を多く抱えながら生産性を維持して最大の成果を出すマネジメント力が問われる時代になっているのです。

 年上の部下とうまく関係性を築いていくのは、言葉で言うほど簡単ではありません。部下とはいえ、年上のプライドには配慮しなくてはならないので、指示や指導が難しく感じるでしょう。そうした人間関係に疲れたり悩んだりする人も少なくないのではないでしょうか。

 今後ますます年上の部下と一緒に働く機会が増えることが予想される中、どんなことに気を付ければよいでしょうか。

年上の部下への接し方のコツ
年上の部下への接し方のコツ
(出所:日経クロステック)
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年上の部下の気持ちを知る

 年上の部下と関係を構築するためには、まずは彼らが置かれた状況や気持ちを想像してみることが大切です。年下の上司を持ってしまった部下の気持ちを考えてみてください。役職定年で給料や責任が減り、仕事へのやりがいを見失いかけている、これまでの経験やスキルを評価された仕事を任されてわくわくしている、上司や周囲の人が自分をどのように見ているのか気になる──。

 ベテランの部下には、これまで積み上げてきた経験やスキルがあります。上司の言葉の使い方によっては「これくらい分かっている」「自分の方がよく理解している」など、相手のプライドを傷つけてしまうかもしれません。年上の部下が置かれている状況や気持ちを考えた上で行動することが大切です。

 まずは、相手の立場や気持ちを察してみましょう。自然と接し方が変わってくるはずです。