「通気層の閉塞を防ぐには?」「雨漏りを招かない通気部材の納まりは?」。屋根断熱の結露トラブルを回避する秘策を、経験豊富な実務者と専門家に聞いた実践例から紹介する。
Q. 通気層の閉塞を防ぐには?
A. つぶれにくいスペーサーを使う
トリプルエコ住宅という独自仕様で石川県のブランド認定を受けているあさひホーム(石川県小松市)は、母屋の間にはめ込んで通気層をつくる段ボール製のスペーサーを標準仕様に組み込む。採用しているのは福田温熱空調(石川県白山市)が開発した「通気遮熱FOボード」だ〔写真1〕。これに、現場発泡ウレタンを吹き付ける。
このスペーサーは垂木の間を丸ごと通気層にできるので、通気層を閉塞するリスクを避けられる。スペーサーと母屋の取り合い部に三角の隙間ができるため、空気を横方向に流す経路も得られる〔図1〕。
あさひホームでは母屋にシートを張って通気層をつくっていたこともある。同社の田中力営業課長は、「シートは柔軟なので大工は施工しやすいがウレタン職人は気を使っていた。ボードは大工もウレタン職人も施工しやすい点がよい」と話す。
高断熱高気密住宅を得意とする建築設計事務所のスタイルワン(東京都武蔵野市)は、日本住環境(東京都台東区)が開発した「ルーフスペーサー」を使って通気層をつくることが多い。垂木間にはめ込むタイプだが、通気層をつぶれにくくする加工が施されている〔写真2〕。
スタイルワンの吉岡未来専務は、「不織布でできていて、複雑な屋根でも施工しやすい。湿気を通しやすい点も建て主に気に入られる」と話す。