全4530文字
PR

ビジネスメール詐欺に強い関心、サプライチェーン型はまだ「人ごと」

最近ユーザー企業から増えている要望は。

 最近ではコンテナに関するセキュリティーやEDR(Endpoint Detection and Response)に関する要望も増えている。

 ただ、コンテナは日本ではまだ普及が進んでいない。EDRもユーザー側の理解がまちまちなのが実情だ。EDRを理解しているユーザーでも、膨大なログの処理など十分に活用できていないという声もある。

 個人的に、この半年間で注目されていると感じたのはビジネスメール詐欺だ。プレスリリースの反響やセミナーへの参加人数を見ても関心は高まっている。その理由には、被害が継続して報告されていることにあると思う。日本で大きな事件(2017年に日本航空で発生した被害金額約3億8000万円の事件)があったし、世界ではもっと大きな事件も起こっている。

 一方で、サプライチェーン型の標的型攻撃は「自分のところは大丈夫だろう」という人ごと感があり、そのリスクの大きさに比べると関心が低い。この分野では引き続き啓もうをしていかなければならない。

2019年第2四半期以降に向けて注力していく製品は。

 エンドポイントセキュリティーを一新する。その一つ「Apex One」という製品では「全体を見渡すことができるエンドポイントセキュリティー」と位置付けている。

 これまで別なものとして扱ってきたEPP(Endpoint Protection Platform)とEDRを融合して、事前予防から事後検出といったこれまで別個にしかできなかった処理を連携する。例えば、後から調べて予兆を検出できるような対策を可能にし、次回以降は最初から自動で阻止できるようにする。

 また、膨大なログ情報からセキュリティー対策に利用できる情報を人工知能技術を使って抽出して、ユーザーが活用できるように可視化する体制を今から10年をかけて軸として準備していく。

 スマートホームのセキュリティーについては、「Consumer Connect」を通信事業者向けに提供し、最近増えているホームデバイスの乗っ取りやボットネット化を防ぐソリューションの提供を開始している。また、IoTセキュリティーに関しては、パナソニックやエレコムなどと連携して、車載デバイスやルーターなどのセキュリティーソリューションを用意している。ただ、こちらの事業は現時点においてまだ小規模で、これから5年をかけて事業の柱に育てていく予定だ。