メール、コミュニケーション関連のソリューションを提供するサイバーソリューションズ。最近売れ行きが伸びている製品や、今後注目の分野や技術、製品について同社の秋田健太郎社長と戦略推進部の持木隆介部長に聞いた。

まず、製品ラインアップについて教えてほしい
持木氏 主にメールサーバーとその周辺サービスを提供している。それぞれオンプレミス版とクラウド版を用意している。もともとメールサーバーを取り扱っていたが、監査対応を想定したアーカイブ製品、メールの受信時におけるアンチウイルス、送信時の誤送信防止などを提供するゲートウェイセキュリティー製品をそろえている。オンプレミス版は、アーカイブ利用などでユーザー数は依然として多い。ただし、全体の傾向としてクラウド版に移行するユーザーが増えている。
メールサービスのクラウド版として用意した「CYBERMAIL Σ」では、標準でアンチウイルス、アンチスパム機能を組み込んでいる。アーカイブ機能や誤送信防止機能についてもオプションで追加可能だ。
オンプレユーザーは減らず、クラウドサービスが大きく伸びる
オンプレミスとクラウドのユーザー割合は。クラウド移行が顕著になったのはどのようなタイミングなのか。
秋田氏 当社におけるユーザー比率は、3年前でオンプレミスをおよそ1とした場合クラウドも1だった。2019年4月時点では件数も金額もオンプレミス2に対してクラウドは3になった。
これは、オンプレミスユーザーの数や取引金額が減ったのではなく、クラウドが増えた結果だ。オンプレミス版の引き合いが減らないのはオンプレミスのメールシステムを他社はほとんど持っていないため。ただ、同時にクラウド版を検討する企業は増えている。
既存のユーザーの動向を見ていると、現行システムをバージョンアップするケースと現行のオンプレミス版をクラウド版に移行するケースはほぼ同数だ。
オンプレミスで大規模なメールシステムを導入している場合、または、10年間など長期間にわたって同じメールシステムを運用していてアーカイブの容量が大きい場合、クラウドへ移行は難しいようだ。このあたりはオンプレミスを残しつつクラウド版も利用するという形の提案もしている。
また、オンプレミスにメールシステムを残す理由として、カスタマイズ利用も挙げられる。オンプレミスメールシステムのカスタマイズに対応しているのは今では恐らく当社しかない。このような場合、当社の製品では一部をクラウドに移行して残りをオンプレミスで運用し続けることも可能なので、そのような提案をするようにしている。
当社のメールシステムでは、切り替え自体は週末などの短期間でできる。切り替えたことをユーザーに気付かせないまま、オンプレミス版からクラウドの新しいメールシステムに移行可能だ。ただし、アーカイブデータの移行には時間がかかる。
オプションの追加に関して目立った傾向は。最初からすべてのオプションを加えるのか、必要を感じたときに追加するのか。
秋田氏 当社はユーザーが求める機能を随時オプションとしてラインアップに追加している。そういう意味では、新たなオプションができたらそれを導入するという動きはある。
現在は、契約する時点で用意しているラインアップにある機能を全てセットで付けるユーザーが多い。後からユーザーにオプションを追加してもらうのは、(売り方として)意外とうまくいかない。これは、1度導入すると安心してしまうからではないかと考えている。