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 「うちの社長はITに関心を示さない」。日本企業のCIO(最高情報責任者)やシステム部長に本音の話を聞くと、以前なら必ずと言ってよいほど、こんな嘆きを聞かされた。私も大手製造業の経営者にインタビューした際、開口一番「私はITが分からないからね」と宣言されてしまい、IT関連の質問の出鼻をくじかれた経験がある。

 それが様変わりした。今や多くの経営者がデジタル、つまりITを語る。人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などの技術をいかにビジネスに活用するか、あるいは事業の構造を変えていくかを、経営者自身が熱心に話す。DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が、経営者に広く認知されたからであろう。

 だが、経営者が依然としてほとんど関心を示さないITがある。最も重要なはずの基幹系システムだ。長年にわたり場当たり的な改修を重ねた結果、多くの企業で基幹系システムは「田舎の温泉宿」と言われるほどアプリケーションの構造が複雑化し、老朽化が進んでいる。事業構造を変えようというDXの取り組みでは、変革に合わせて基幹系システムも迅速な改変が必要なはずだが、現状ではそれが難しい。

 私は「DXを推進するうえでも、一刻も早く基幹系システムを刷新すべきだ」と繰り返し主張してきた。経済産業省が2018年秋に発表した「DXレポート」も老朽化の問題を指摘する。「基幹系システムが21年以上前から稼働している企業の割合は20%、仮にこの状態のまま2025年を迎えると、21年以上稼働している企業の割合は60%になる」とし、基幹系システムの刷新が喫緊の課題と警鐘を鳴らしている。

基幹系刷新こそ攻めのIT

 老朽化した基幹系システムへの懸念が広がりつつあるのに、当事者である企業の経営者が関心を示さないのはなぜか。DXレポートも「経営上の重要な問題点について、経営者が適切に認識できているとは言えない現状にある。情報システム部門が、仮にそうした問題を認識できているとしても、経営者に対して経営上の問題として説明するのが難しい」とする。

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