全2581文字
PR

 2019年9月20日に東京都港区のベルサール汐留で開催されたスポーツの試合のパブリックビューイングイベントは、2つの意味で大きな注目を集めた。1つは、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の開幕戦である日本代表対ロシア代表の試合だった点。同大会は、前回の2015年に世界で総視聴者数が40億人を超えたと言われる、世界3大スポーツイベント(他はサッカーワールドカップとオリンピック)の1つである。

 もう1つは、同イベントを主催したNTTドコモが2020年春に商用サービス開始を予定している、第5世代移動通信システム(5G)のプレサービスの第1弾であった点。商用サービスと同等のネットワーク環境を一般ユーザーに提供するのは、国内では初めてだったという。同社はラグビーワールドカップの試合が開催される全国8カ所のスタジアムをすでに5Gエリア化しており、大会期間中に5Gを使った同様のサービスを展開していく。

NTTドコモが開催した、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の開幕戦・日本代表対ロシア代表のパブリックビューイングイベント「0 distance 5G LIVE SPORTS」。マルチアングル視聴のほか、試合の状況に合わせてプレーのスタッツが表示された。例えばスクラム時には、スクラムを組む両チームの選手の合計体重がスクリーンに出された
NTTドコモが開催した、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の開幕戦・日本代表対ロシア代表のパブリックビューイングイベント「0 distance 5G LIVE SPORTS」。マルチアングル視聴のほか、試合の状況に合わせてプレーのスタッツが表示された。例えばスクラム時には、スクラムを組む両チームの選手の合計体重がスクリーンに出された
(写真:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 今回のイベントでは、5Gを活用することで、いわば“パブリックビューイング2.0”とも呼べるような新しい体験を提供した。東京スタジアム(東京都調布市)での試合映像の大画面への表示に加え、スタジアムに設置した複数台のカメラ映像による「マルチアングル(多視点)視聴」や、プレーのスタッツ表示、さらにスタジアムの音声を立体音響技術などを介して会場に伝え、あたかもスタンドで応援しているかのような環境を作り上げた。

ベルサール汐留の会場の天井裏に設置された5Gの基地局
ベルサール汐留の会場の天井裏に設置された5Gの基地局
(写真:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうしたマルチアングルの映像やスタッツ、音声など大容量の情報をわずかな遅延で安定的に無線伝送できるのは、5Gを使っているからだ。映像伝送の遅延時間はサーバーなどの負荷にもよるが、テスト時点では800ミリ秒だったという。

 なお、今回のサービスでは5Gで利用する周波数帯のうち、「サブ6」と呼ばれる3.7GHzと4.5GHzを使った。ミリ波帯の28GHzは使っていないという。

 個人的に最も気に入ったのは、マルチアングル視聴だ。ラグビーでは選手が密集した際、ボールが隠れてしまったり、反則のシーンがよく見えなかったりする。実際、競技場での観戦では、ラグビーに詳しくない人は何が起こっているのか分からないこともよくある。一方、マルチアングルでは、ある角度のカメラからボールが隠れてしまっても、別角度のカメラの映像が見れたりするのでその不満が解消される。