全2340文字
PR

肝は柔軟で伸縮性がある配線

 モーションキャプチャー装置は、関節などに光学系マーカーが付いた特殊なウエアを着て動き、専用カメラでマーカーの動きを読み取ってデータ化する。精度には優れるものの、安いものでも数百万円、高いと1000万円超と高価な上、計測場所もその装置が設置された室内などに限定される欠点があった。

 「目標はモーションキャプチャーを簡易化したようなシステム」。今回の開発を手掛けたアシックス スポーツ工学研究所 アパレル・エクィップメント機能研究部 アパレル機能開発チームの草野拳氏はこう話す。

 同社は学校やスポーツ施設などに赴いて野球に必要な能力を「体格」「体力」「動作」の3つの観点で測定・評価する「ASICS BASEBALL Lab.」を展開している。こうした活動の中で、「1球ずつフィードバックを受けたい」という現場の声を得ていた。また、野球選手、特に投手は小中学生といった若い年代から肘などの故障者が多く、この問題を改善に導くシステムを開発したいという思いもあった。

「ASICS BASEBALL Lab.」の実施風景。野球に必要な能力を「体格」「体力」「動作」の3つの観点から13項目の測定・評価を実施するサービスだ
「ASICS BASEBALL Lab.」の実施風景。野球に必要な能力を「体格」「体力」「動作」の3つの観点から13項目の測定・評価を実施するサービスだ
(写真:アシックス)
[画像のクリックで拡大表示]

 環境を選ばずに屋外でも計測でき、かつ精度が高く、フィードバックがすぐにできるような技術を開発できないか……。そうした時に目を付けたのが、Xenomaの「e-skin」だった。e-skinは柔軟で伸縮性がある配線を実現する布状電子回路基板(Printed Circuit Fabric:PCF)と呼ぶ技術を基に、ウエアに各種のセンシング機能を付加したスマートアパレルブランドである。Xenomaは東京大学の染谷研究室/JST ERATO染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクトのスピンオフとして設立された。