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 プロスポーツの世界では、選手やボールの動きをトラッキングして可視化することはもはや当たり前の状況になっている。しかし、取得したリアルタイムのプレーデータを試合中に活用して、戦術変更などが行われている競技はまだ少ない。

 元世界ランキング1位の大坂なおみ選手が活躍の舞台としている女子テニス協会(WTA)のツアーは、リアルタイムのプレーデータの活用という点で世界の先端を行く。すでに2015年シーズンから、1セットに1回、コーチがコート上で選手に対し、WTAの「公認iPad」を使ってその試合のデータを選手に見せながら、戦術や修正点についてアドバスすることを認めている。

「SAP Tennis Analytics for Coaches」の画面。2018年9月に開催された「東レ・パン・パシフィックオープンテニス」の決勝戦、大坂なおみ選手とカロリーナ・プリスコバ選手の試合のリアルタイムのデータを表示したもの
「SAP Tennis Analytics for Coaches」の画面。2018年9月に開催された「東レ・パン・パシフィックオープンテニス」の決勝戦、大坂なおみ選手とカロリーナ・プリスコバ選手の試合のリアルタイムのデータを表示したもの
(写真:日経クロステック)
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 このコーチ向けの分析アプリが、ドイツSAPが開発した「SAP Tennis Analytics for Coaches」である。同社の担当者は3年間、ツアーに帯同してコーチや選手に意見を聞きまくり、「デザイン志向」で開発を進めたという。

 2019年10月、SAPとWTAは、Tennis Analytics for Coachesの新機能として「Patterns of Play(パターンズ・オブ・プレー)」を発表した。WTAに所属するコーチと選手が、試合中のラリーなどで現れるパターンを明らかにして分析できる。これまではポイントごとの確率を見てプレーを分析していたところを、初めて“シークエンス”、つまり連続したプレーを通じて分析できる点が肝である。

 WTA所属のコーチで、2019年12月に大坂選手の新コーチに就任したWim Fissette(ウィム・フィセッテ)氏は、Patterns of Playについてこうコメントしている。「さまざまなコンディションや対戦相手ごとの試合中のラリーパターンを分析できるため、次の試合に向けて準備を整えることが可能になる。WTAコーチにとって画期的な機能だ」。

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