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 米国の4大スポーツの中でも、テクノロジーを活用した若年層のファン獲得など新しい取り組みに定評がある男子プロバスケットボールNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)。2020年3月6日には、AI(人工知能)を活用したバスケットボールのトレーニングアプリ「HomeCourt」を提供する米NEX Teamと共同で、育成およびタレント発掘プログラム「NBAグローバルスカウト」を同アプリに実装したことを発表した。AIが取得するデータを基に、世界中から“金の卵”を発掘するのが狙いだ。NBAでこの取り組みを担当する、Associate Vice President, Basketball Strategy & AnalyticsのTom Ryan(トム・ライアン)氏に聞いた。

スカウティングの地理的障害をなくしたい

今回、「NBAグローバルスカウト」をHomeCourtに実装することになった経緯を教えてください。

ライアン氏 NBAは2019年7月に、NEX Teamと正式にパートナーシップ契約を結びました。同社は一般ユーザーのバスケットボールに対するエンゲージメントの向上を目標とするトレーニングアプリ「HomeCourt」を提供しています。NBAと同社は、NBAが有するテクノロジーやバスケットボールの普及などに関する専門的技術を生かし、NBAグローバルスカウトという育成およびタレント発掘のプログラムを共同制作することになりました。

「300 Combo」と呼ばれるドリブルのスキルチェックのシーン
「300 Combo」と呼ばれるドリブルのスキルチェックのシーン
写真では右ドリブルを50回行っている。どれだけ早く300Comboのチェック項目を終わらすことができるかで採点される。また右手と左手のドリブルスキルの差、各ドリブルをいかに早く行えるか、さらにユーザーの成長率などの情報もAIが収集・分析している(写真:NBA)
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 NBAグローバルスカウトでは、NBAの「ドラフトコンバイン」(ドラフトに向けた最初のステップで、候補選手たちが5対5の試合に加え、シューティングや筋力、機動力を測定するドリルを行って能力を示すプログラム)の計測に参加したり、ドラフトコンバインからインスパイアされたポジション別スキル育成エクササイズを行って、自分のポテンシャルを披露できます。また、ウィングスパン(両手を広げた長さ)、垂直飛びと機敏性に関する測定、そしてシュートスキルの評価なども行えます。こうした機能の実現にHomeCourtが実装するAI技術を使っています。

「Combine Measurement」と呼ばれる身体測定をAIで行っているシーン
「Combine Measurement」と呼ばれる身体測定をAIで行っているシーン
(写真:NBA)
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NBAグローバルスカウトのインパクトを教えてください。

NBAグローバルスカウトを推進する、NBA Associate Vice President, Basketball Strategy & AnalyticsのTom Ryan(トム・ライアン)氏
NBAグローバルスカウトを推進する、NBA Associate Vice President, Basketball Strategy & AnalyticsのTom Ryan(トム・ライアン)氏
(写真:NBA)
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ライアン氏 NBA グローバルスカウトの最終的な目標は、国際的なスカウティングにおける地理的な障害をなくし、全ての若者の可能性を広げることです。世界中の優れたバスケットボール選手の発掘のみならず、選手の育成にも重きを置いています。

 さらにNEX Teamとのパートナーシップを通じて、若者のスキルアップ、競技力の向上を手助けする世界で一番のトレーニングプラットフォームの提供を目指しています。将来的にはNBAグローバルスカウトを利用し、目標を持っている選手たちが自分の試合を披露し、NBAで競技する機会を与えられたり、またレベルに関わらず、バスケットボールへの関心やプレーする機会を広げていくコミュニティーを築いていきたいです。