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 2020年1月11日に決勝が行われた「第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」で、11年ぶりの優勝を飾った早稲田大学ラグビー蹴球部。久々の優勝の裏には、経験や勘に頼らない客観指標を用いたコンディション管理があった。

早稲田大学ラグビー蹴球部の試合の様子
早稲田大学ラグビー蹴球部の試合の様子
(写真:早稲田大学ラグビー蹴球部提供)
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 同部で選手のコンディション管理を担当するS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチの村上貴弘氏は「我々が一番望んでいた、大学選手権の準決勝・決勝にベストメンバーで挑めたことが勝因の1つ」と振り返る。

 経験や勘ではなくデータに基づくコンディション管理(アスリートモニタリング)を実践するためには、「運動負荷」の可視化が重要になる。運動負荷はトレーニングの設計指標であり、戦術やスキル向上の観点では高めることが望ましいが、逆に高め過ぎるとケガや体調不良を引き起こすリスクがある。運動負荷を適切に管理することが重要だ。

 早大ラグビー部では2016年に、ユーフォリア(東京・千代田)が提供するクラウド型のコンディション管理サービス「ONE TAP SPORTS」を導入した。ONE TAP SPORTSは、2015年のラグビーワールドカップで活躍した日本代表が使っていたことでその存在が広まり、現在では40競技・350チーム以上の日本代表やプロチームに導入されている。選手が主観的にトレーニング内容を評価して数値化し、それを基に負荷を計測する。一般に「RPE(自覚的運動強度)」という指標を取得するタイプのツールである。

 具体的には、「強度(きつさ)」などの項目に対して、選手が横線バーを感覚的にタッチして10段階でスコア化。それをクラウド上に収集し、集計結果やそのグラフをコーチやトレーナーが共有したり、選手自身が確認できたりする。

 そして2018年6月から2020年3月にNTTが主体となってユーフォリア、アシックスとともに行った共同実験に、同部は被験者として協力し、アスリートモニタリングの取り組みを進めた。NTTと東レが共同開発した機能素材「hitoe」をベースにしたウエアを用いた運動負荷の可視化への客観的なアプローチである。