ソニー傘下の英Hawk-Eye Innovations(ホークアイ・イノベーションズ)が展開するスポーツ向けのトラッキング(追跡)システムが、活躍の舞台を広げている。米プロ野球のMLB(メジャーリーグベースボール)では、全30球団のスタジアムなどに導入され、7月に開幕した2020年シーズンからプレー分析サービスなどで活用され始めた。
日本のプロ野球でも、東京ヤクルトスワローズの協力の下、本拠地である明治神宮野球場に導入され、6月に開幕した2020年シーズンに稼働した。
Hawk-Eyeは複数台のカメラの映像をリアルタイムに分析するシステムで、これまでテニスのライン判定「チャレンジシステム」やサッカーのゴール判定「ゴールラインテクノロジー(GLT)」などに使われてきた。さらに同社はサッカーでPKなど際どいシーンの判定をビデオで確認する「VAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)」などの審判判定支援システムなども提供する。現在、世界90カ国、25種類以上の競技において、年間3万回以上の試合で同社のシステムが使われている。まさにスポーツテックのリーダー的な存在だ。
そのHawk-Eyeの新しい舞台がプロ野球である。MLBではスタジアムに、高フレームレートの4Kカメラを12台設置し、ボールや選手の動きをミリ単位の精度で光学的に捉えてリアルタイムに解析し、データ化している。投球についてはリリース時のスピード、ボールの回転数、回転方向、リリースポイントの高さ・位置、さらにボールとバットの接触点の情報、打球のスピード・角度・方向・飛距離、バットのスイングスピードなど取得するデータは多岐にわたる。
なお、12台のカメラの内、多くの球場ではピッチャープレートからホームベース間のトラッキング用に100フレーム/秒(fps)とフレームレートが高いカメラを4台使用し、残りの50fpsの8台のカメラでフィールド上の選手の動きなどをトラッキングしている。