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 サッカーを通じて社会連携を目指すJリーグ、日本有数のビジネス街である丸の内のまちづくり団体・エコッツェリア協会の二者が主催する「Jリーグ丸の内ラボ」のプレイベントが、2019年10月に都内で開催された。丸の内を代表するデベロッパーである三菱地所、東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研)が共催に加わり、産官学連携によるラボの検討がなされた。このプロジェクトは何を目指し、どのようなものを生み出そうとする取り組みなのだろうか。その狙いを探る。

Jリーグと丸の内がつながる理由

 かねて地域での活動に力を注いで来たJリーグだが、近年、教育や健康、多世代交流、子どもたちの貧困といった社会的な課題に対して、地域や企業、学校などの組織とJリーグクラブが連携して解決を目指す「Jリーグ社会連携プロジェクト(通称:シャレン!)」という活動をスタート。これまで以上に地域での活動に力を入れている。

 Jリーグ丸の内ラボもシャレン!の延長線上にある取り組みだが、焦点はより明確で、「Jリーグを通して東京と地方のつながりを強くする」ことを目指している。Jリーグ理事で、社会連携関連事業を担当する米田惠美氏は、このラボの構想を抱いた経緯を次のように話す。

Jリーグ理事の米田惠美氏
Jリーグ理事の米田惠美氏
(写真:久我 智也、以下同)
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「私自身もそうでしたが、東京で働いているビジネスパーソンの中には“もっと地域と関わりたい”、“自分のスキルを生かして社会貢献がしたい”と思っている人が多くいます。そうした希望を実現できる場はなかなかありません。しかしJクラブは各地域でサポーターや地元企業間のハブとなっています。そこで、Jクラブを通じて、地域への思いを持った東京のビジネスパーソンと地域をつなげていけば、いろいろな課題を解決できるのではないかと考えました。それがこのラボの出発点です」(米田氏)

Jリーグ丸の内ラボは地方の関係人口増につながると米田氏
Jリーグ丸の内ラボは地方の関係人口増につながると米田氏
(資料:Jリーグ)
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 同じ頃、丸の内側でも、スポーツを通じた場づくりを考える人物がいた。Jリーグと共に丸の内ラボを検討している1人である三菱地所の河合悠祐氏だ。

 「三菱地所が地方創生に携わっていくとき、単に大きな建物を建てるだけが地方のためになるとは限りません。では三菱地所にできる地域貢献とは何なのかと考えたとき、私たちには丸の内というプラットフォームがあると気づきました。丸の内には様々な企業、そこに勤める人々がいます。そうした企業・人と地方をつなげるハブになることが、三菱地所ができる地方創生だと思ったのです。そんな折、たまたま米田さんと知り合いました。最初は雑談として“こんなことをしたい”と話をしていたのですが、意気投合し、では実際に動き出してみましょうとなりました」(河合氏)

三菱地所の河合悠祐氏
三菱地所の河合悠祐氏
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 丸の内と地方をつなぐことは、どのような効果を生み出していくのだろうか。エコッツェリア協会 事務局次長の田口真司氏は次のように話す。

 「丸の内のほか、大手町、有楽町を含む通称・大丸有地区は、約4300の事業所、28万人の就業者が集う日本有数の企業集積地です。一方、東京に住む人には地方出身者が多いほか、人材・食材・建材もすべて地方に支えられています。言い換えれば、東京の中心に位置する大丸有地区は、“地方に対する思い”を持った人が大勢集まるエリアなんです。そうしたビジネスパーソンのリソースを持ち寄り、都市と地方が互いにいいところを実装していけば、課題解決につながるパワーを生み出せると思います。そのきっかけの1つとして、多くの地域に根を広げているJリーグと連携することは大きな意味があると思っています」(田口氏)

エコッツェリア協会 事務局次長の田口真司氏
エコッツェリア協会 事務局次長の田口真司氏
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