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 アシックスは、施設や工場内における従業員の位置情報などを分析し、労働状況を可視化するソリューションを開発した。もともとは実業団のスポーツチームや部活動向けを想定して開発していた技術を転用した。2021年度内の実用化を目指す。

 「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、20年4月ごろからスポーツの現場の方と直接会えない状況が続いていた。一方、現場作業者向けのシューズである安全靴を開発・販売していたこともあり、技術を転用してみようという話になった。人の動きの解析という点で、スポーツ向けと技術は近しい」と、今回の技術開発を手がけた事業推進統括部 インキュベーション部 IoTインキュベーションチーム マネジャーの坂本賢志氏は言う。

  開発したのは、同社のスポーツデータ統合システム「TUNEGRID(チューングリッド)」を応用したソリューションだ。TUNEGRIDは、小型センサーを装着したシューズ、ビデオカメラ、スマートウオッチなど様々な測定ツールと連携し、得られるデータを一元管理・分析するシステムだ。

 開発したソリューションはそのコア技術の1つである小型のBLE(Bluetooth Low Energy)センサー「TUNEGRID-Cube」を使う。このセンサーは、寸法が27mm×22mm×7.5mm、重さが5gで、加速度センサーを内蔵する。これを片方の靴の靴ひも部分につけて作業をすると、時間に応じた歩数を記録できるほか、BLEの検知器と連動することで位置情報を取得できる。これによって、工場や倉庫内において作業員ごとの勤務状況を把握できる上、レイアウト変更した場合の効果測定なども可能になる。

BLEセンサーを装着したシューズとスマホアプリの画面
BLEセンサーを装着したシューズとスマホアプリの画面
(図:アシックス)
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 例えば、歩数情報から作業員の勤務状況を推測できるし、ある作業員の1日の歩数がぐんと減っていたら体調が悪いなど何か変化があったことに気づく。また、物流倉庫などでは頻繁に棚などのレイアウト変更があるが、変更前と比較して変更後に作業員の歩数が増えていたら改善の余地があることが分かる。

 同社は100%子会社で国内唯一のシューズ生産拠点である鳥取県の山陰アシックス工業で、複数の作業員に対してBLEセンサーを装着したシューズを着用して数週間業務を行ってもらう実験をした。その結果、移動履歴や施設への入退室時刻、滞在時間など行動を可視化できたという。

実証実験の様子
実証実験の様子
(図:アシックス)
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