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 2021年3月24日、新しい愛知県体育館の基本協定調印式が行われた。調印式には愛知県の大村秀章知事をはじめ、NTTドコモ、前田建設工業などコンソーシアム「Aichi Smart Arenaグループ」に名を連ねる各企業の代表者が参加し、新体育館のコンセプトや運営計画などについて説明した。

「Aichi Smart Arenaグループ」にはNTTドコモや前田建設工業などが名を連ねる。写真は記者会見の様子
「Aichi Smart Arenaグループ」にはNTTドコモや前田建設工業などが名を連ねる。写真は記者会見の様子
(写真:久我智也)
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 冒頭の挨拶で大村知事は、新体育館整備の背景を次のように説明した。

 「現在の愛知県体育館は1964年の東京オリンピックに合わせてオープンし、それから半世紀以上、大相撲名古屋場所などの開催を通じて県民に親しまれてきた施設で、稼働率はほぼフル操業の状態です。しかし、施設の老朽化や、施設規模が世界基準を満たしていません。そこで、2026年のアジア競技大会で利用できるように新体育館の整備を進めることになりました」(大村氏)

大村秀章愛知県知事
大村秀章愛知県知事
(写真:久我智也)
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 25年夏にオープン予定の新愛知県体育館は、メインアリーナ、サブアリーナ、多目的ホールからなり、延べ床面積は5万8000平方メートル、建築面積は2万6700平方メートル。そして最大収容人数は1万7000人、天井高さ30mと、国内最大級にして日本初の世界基準となるアリーナである。

新アリーナの外観デザイン。公園の木々と重なる樹形アリーナを目指す
新アリーナの外観デザイン。公園の木々と重なる樹形アリーナを目指す
(提供:Aichi Smart Arenaグループ)
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 デザインを担当したのは日本を代表する建築家の隈研吾氏。建設予定地である名城公園内の木々と調和する「樹形」の外装、地域に根ざした自然・産業・風物・文化を継承する内装を意識している。座席配置に関しては、スポーツ観戦に適したオーバル型と、音楽興行に適した馬蹄(ばてい)型を組み合わせたハイブリットオーバル型になっており、あらゆるシーンに適合できるようになっている。また、国内最大級のVIPルームやプレミアムエリアが設置予定となっているのも注目のポイントと言える。

 事業方式にも特徴がある。新アリーナは「BT(Build Transfer)コンセッション方式」と呼ばれる形態で運営がなされる。これは事業者が自らの提案をもとに新体育館の設計・建設を行った後、県に所有権を移管して、事業者(コンソーシアム構成員が全額出資して設立する特別目的会社)は県から与えられる運営権に基づいて維持管理を行うという方式だ。設計・建設から維持管理・運営まで一体的に事業を行っていくことで自由度が高い施設整備が可能となり、民間のノウハウや創意工夫を最大限に生かすことができる。設計・建設を担当する前田建設工業の前田操治代表取締役社長は、このスキームについて次のように語った。

 「本事業は、全国で初めて1事業者が設計から施工、運営を担うBTコンセッション方式で行います。官民双方にとって資金効率を最大限に生かせるスキームであるとともに、同一事業者の立場で、運営段階のニーズや課題をより具体的に設計段階から取り入れることで、事業価値の最大化を図れる、これまでにない新しいスキームです。まさに三方良しの考え方に基づいており、官民連携の地域サービスの質向上を実現できる新しい公共調達の在り方、新しい地域における価値創造の在り方として、今後の先端モデルになると確信しています」(前田氏)

前田建設工業の前田操治代表取締役社長
前田建設工業の前田操治代表取締役社長
(写真:久我智也)
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観客席はあらゆる興行に対応できるハイブリットオーバル型を目指す
観客席はあらゆる興行に対応できるハイブリットオーバル型を目指す
(提供:Aichi Smart Arenaグループ)
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VIPルームやプレミアムラウンジも設置し、国内外のVIPを招いてイベントを楽しみながら商談をすることができるという
VIPルームやプレミアムラウンジも設置し、国内外のVIPを招いてイベントを楽しみながら商談をすることができるという
(提供:Aichi Smart Arenaグループ)
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