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泳いでいるときにタイムが見られない

 機能面での特徴の1つは、クロールや他の泳法を自動的に判別し、ストロークをカウントできる点にある。同社は数年をかけて、機械学習を使った泳法を判別するためのアルゴリズムを開発したという。

 創業者のダン・アイゼンハルト氏による、発売までのストーリーもユニークだ。デンマーク出身の同氏は1990年代半ば、大学の選手権で優勝するなど14年間を水泳選手として過ごした。その後、MBAを取得するためにブリティッシュコロンビア大学に在籍していた際、思いついたのがMRを水泳に取り入れるアイデアだった。

 それまでタイムなどを見るには、いったん泳ぐのを止めなければならなかった。実際、スマートウオッチには水泳に対応したものもあるが、腕時計型だとやはり泳ぎを止めるか、泳ぎ方を変える必要があり、実用的とは言い難い。

 こうしてRecon Instruments(レコン・インスツルメンツ)を起業したものの、同様のアイデアに基づくと思われる特許が既にあったため、まず2010年にスキーゴーグル用のHUD「Transcend」を発売した。米Google(グーグル)がARグラス「Google Glass」を発売する2年以上前のことだ。

 さらに2015年4月には、サイクリング用のMRサングラス「Recon Jet」を発売した。その2カ月後には同社に出資していた米Intel(インテル)が同社を買収、アイゼンハルト氏は頭部装着デバイスグループのゼネラルマネジャーに就任することとなった。

 しかし2016年、アイゼンハルト氏はインテルを退社し、もともとのアイデアの追求を開始したのである。その1年後、インテルがRecon Instrumentsを閉鎖すると、元スタッフ達を雇用し、FORMを起ち上げた。

 Reconで製品化できなかったのにFORMで可能になった点についてアイゼンハルト氏は、技術が進展したことでサイズを小さくすることが可能になった点を挙げている。わずか2行だけの表示については「それでもこれまで何もなかったことからは大きな進歩であり、今後も改良していく」ことを強調していた。